多くの人々を魅了し、世界中の子どもたちに夢を与えるロナウジーニョが8歳の自分に書いた手紙がとても良かった。
ロナウジーニョが8歳の自分に書いた手紙
「父は、君に『創造的にプレーしろ』『自由なスタイルでサッカーをしよう』と教えてくれた人だ。ボールを持って遊ぼうと。彼は誰よりも君のことを信じてくれていた人だ。
ロベルトがその前年にグレミオでプレーし始めたとき、父はあらゆる人に話していた。『ロベルトはいいよ。しかし、これから来る彼の弟を見ておけよ』と。父はスーパーヒーローだった。
サッカーを心から愛し、造船所での仕事を終えたら、週末にはグレミオのスタジアムで警備員をしていた」「君はすぐに悲しみを感じることはないはずだ。それは後から来る。数年後、君は父親が二度と戻ってこないことを受け入れるだろう。
しかし、理解しておいてほしいのは、ボールは常に君の足にあるということだ。父は君とともにある。サッカーをする時、君は自由だ。幸せだ。まるでヒーリング・ミュージックのようなものだ。
その感覚は、君に『この楽しみを広げたい』と思わせてくれるだろう。君はラッキーだよ。なぜなら、ロベルトがいるからだ。10歳年上の彼がグレミオでプレーしていて、君のために動いてくれる。彼はただの兄弟ではない。父親代わりになる。
そして、それ以上の存在にも。君にとって、彼はヒーローになるんだ。君は彼のようにプレーしたいと願う。君は彼のようになりたいと願う。毎朝、君はグレミオのことを思う。そして、ユースでプレーし始める。
ロベルトとともにロッカールームに入る。毎晩ベッドに入れば、自分のあこがれの選手と寝室をともにする。ポスターも何もないベッドルームには、小さなテレビだけがある。それ以上はなにもいらない。
なぜなら、試合を見る時間はないからね。遠征に出ていない時、ロベルトは君をもっとプレーさせようと連れて行くからだ。ポルトアレグレに住んでいるときには、ギャングやドラッグのような危ないものもあるだろう。
難しいものだが、できるだけサッカーをしよう。道で、公園で、犬とともに。そうだ。犬について言っておかないとね。彼は疲れることのないディフェンダーだよ。君はロベルトとともにプレーするだろう。
他の子供と共に、公園で年上の人々と。ただ、最終的には皆疲れる。君はもっとプレーしたい。そんな時は犬のボンボンを相手にサッカーをするんだ。ボンボンは雑種だ。リアルなブラジルの犬だ。
ブラジルの犬は、フットボールを愛している。彼は素晴らしい練習相手になるよ。おそらく、『エラシコ』の最初の相手になるのが彼になるはずだ。ヨーロッパでプレーし始めたら、何人かのディフェンダーがボンボンを思い起こさせるだろうね」
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スペインへ取材に言った時に何度も耳にした人物の名前が「セイルーロ」だ。
スペインサッカー界に多大なる影響力があるというこの人物のことは日本ではまだ認知されていない。スペインでサッカーの指導を学ぶ坂本さんの発信はとても貴重なものである。
体力について私の意見だが、体力はずる賢さだ。
(セイルーロ):そうですね。体力自体はどのように使われるかを知らない。だから、自分のエネルギーをいかにちょうど良いタイミングで使うのかが大事だ。
これも信じられてきたことかも知れないけど、より多く走る選手がサッカーにとって最高の選手なんだろうか?
(セイルーロ):サッカーというスポーツはたった3つのダッシュしかない。キックオフの後といくつかのダッシュ。後は走りたかったら、走ったらいい。ウオーミングアップについて、でたらめを言っている訳ではないよ。過度のウオーミングアップは必要ない。サッカーは私たちの習慣になっているスポーツだからね。
疲れの一部分は心理的なものである
面白いのは試合に負けた時を除いて、フィジカル・トレーニングについては誰も話さないことだよ。
(セイルーロ):そうですね。試合中、急に走るのをやめる選手がいる。なんで走らないのかその選手に質問したら、「多分、この試合は負ける、逆転は無理だよ」。選手が2回パスミスをしたら、その選手は走らなくなるよ。立ち止まるのではなく、ボールを取り戻さなければならないのに。
大人がサッカーの本質を知らなければ、子どもたちに正しくサッカーを伝えることができないということ。
7、8歳の子を比べてみると、日本とドイツに違いはありません。日本でも、そのくらいの年齢の子はボールにどんどん向かっていくんです
「それどころか、日本の方が上だ。
運動能力が高く、コーディネーション能力が優れ、技術レベルも高い。
私は12〜13歳の子どもについて、日本ほどすばらしい才能に溢れた子どもが多くいる国を見たことがない。学習意欲も溢れている。
でも、そんな才能を持った子どもたちが、サッカーを知らない指導者の下で練習を積むとどうなる?
サッカーで一番大切なことを伝えられていない。大切なのは『ゴールを狙い、ゴールを守る』ことだ。パス、走る、パス、走る、パス、走る…。
しかし、それだけではいい選手にはなれない。どこかの選抜チームではなくともすばらしい選手がたくさんいる。
ただ、彼らはサッカー人生を重ねるほどに、サッカーを習い損なっている。
『何が大事か』『何をしなければならないのか』を学べないからだ」
サッカーの本質を追求する旅はつづく…