サッカーをプレーする上で重要な要素の一つは「駆け引き」です。
いかに相手の逆を突けるか、相手を騙すか。
このような発想がベースになければサッカーが上手くなることはありません。
真面目で勤勉で不正を一切行わない隙のない男が魅力的なプレーができるわけがないのです。
出る杭を打ってはならない
サッカーは学校の教育に反することを教えなければ上手くならないのです。
社会に適応するために、尖った個性を丸くして周りと同じように最適化していくような教育を受けているうちにサッカーに必要な要素はどんどん失われていくような気がします。
出る杭は打たれる。
日本では、感情を表現することすら難しい子どもたちがいかに多いか、各地でいろんな子どもたちとサッカーをしていると感じます。
メキシコやグアテマラの貧しい子どもたちに触れて感じたことがあります。
彼らは経済的な理由で十分な教育を受けられず、ストリートで幼い頃から商売することを余儀無くされているものの、リアルな人間との商売を通じて人間の本質を学び生きていく術を見出しているのです。
ストリートでの商売はずる賢さも駆け引きも求められるのです。
そんなストリートキッズたちは、ボールを蹴れば圧倒的な表現力を見せてくれます。
自分を解放することを躊躇わず、思う存分尖ったプレーを披露します。
成熟した社会で生きていく上では不利になることはもちろん多いけれども、人生を楽しむマインドは持っているように感じました。
我々の住む日本という国において、サッカーの本質をいかに伝えていくかは実はとても難しい課題なのだと思います。
高校サッカーでドリブラー集団ということで話題を集めた聖和学園の加見監督の本「聖和の流儀」にはこんなことが書かれていました。
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「ずる賢さ」の重要性、そして最も大事なのは「努力」
「相手の逆を取りなさい」
私が1対1トレーニングを指導する時によく使う言葉です。様々なドリブルを身につけることも大事ですが、身につけたドリブルを上手く使って1対1で勝つためには、相手の逆を取ることが出来なければいけません。いわば「駆け引き」です。子どもたちには駆け引きを楽しみながらサッカーをやってほしいのです。
相手の逆を取るためには、まずボールの持ち方、ボールの置く場所が重要です。相手が触れない位置にボールを置き、さらに相手の意表を突く動作が必要になります。いろんな種類のドリブルができるだけでは不十分です。相手の逆を取る動きができるかどうかが、1対1を制するカギになります。
相手の逆を取るための有効な動きの一つが、フェイントです。ボールを触る足先のフェイントだけではなく、ボディフェイントを身につけることが非常に大事だと思います。足だけではなくて、体全体を使ってフェイントができれば、相手の逆を突く方法は大きく広がるので、どちらも身につけなければいけません。
相手との駆け引きは技術的な側面も大事ですが、もっとも大事なのは心理的な側面であり、これが駆け引きに勝つための大きなウエイトを占めます。1対1の駆け引きでは「相手を騙す」という、学校の教育にまるで反することを選手たちに教えなければいけません。しかし、そこがサッカーの一番楽しいところでもあります。相手の心理の逆を突くために、人を騙す能力であり、つまり「ずる賢さ」が重要になります。
悪いことがバレないようにする発想の中には、こちらが驚かされるほど興味深いものがたくさんあります。悪いことがバレてしまったときに「いやー!お前はバレないようにこんなことをしたのか。すごいな!」と内心思わされるような状況をサッカーに置き換えると、本当に面白いアイデアになることが往々にしてあるのです。
【引用書籍】
日本でサッカーの本質を伝えることは難しい
「ずる賢さ」や「駆け引き」は良くないものと教えられ、それらの要素が含まれるスポーツやゲームですら健全に安全に教える日本の教育があるのです。
しかし、ここを伝えられないとサッカーの本当の魅力、面白さなど子どもたちには伝わらないのです。
それをどのように子どもたちに伝えていくかが我々サッカーに魅せられた大人に課された課題なのだと思います。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…