第21回国際交流サッカー大会 U-12 前橋市長杯のレポートです。
私が以前コーチをしていたクラブ、スエルテ横浜がこの大会に参加するとのことで、取材も兼ねて同行させていただくことになりました。
海外からも複数チーム参加する国際交流大会。
FTSオーストラリアをはじめ、シンガポールスポーツクラブ、ナショナルF.D.P.(マレーシア)、R-MA S.C. (タイ王国)、チュンムFC、ファランFC(韓国)など、各国の育成年代のプレーを見ることができるとても貴重な機会。
【U-12国際大会(過去)レポート】
サッカーに対する情熱と選手への愛情表現 〜コパ・プーマ・トレーロス2017大会レポート①〜 - 大人になってから学ぶサッカーの本質とは
今回は、スエルテ横浜 対 FTSオーストラリアの試合レポートを。
試合を観て、感じたことを書いていきたいと思います。
スエルテ横浜 対 FTSオーストラリア
好奇心の塊、臆さない心
試合開始前からオーストラリアの選手たちはフレンドリーに積極的にコミュニケーションを取りにきました。好奇心の塊、臆さない心を持っているオーストラリアの選手たち。異文化交流に慣れていないスエルテの選手たちは雰囲気に飲まれ気味だったけれども、相手もそこは同じ条件。
自分から行くのか、待つのか… この差はサッカーでは大きいぞ…
しかし、こんな経験をすることこそがとても大事なこと。
試合前のミーティングで代表くぼっちからこんな檄が飛んだ。
「この試合で俺たちは上手いんだぞ!強いんだぞ!ということを示してこい!」
そして試合へと向かったのだが…
インテンシティの差
キックオフ直後からインテンシティの差、つまりプレー強度の差が如実に出てしまった。まずは相手の様子を見よう…、というようなテンションで試合に入ったスエルテ。
対するオーストラリアは最初から全力で相手をやっつけてやるんだ!といったテンション。
今まで経験したことのない速さのプレッシャー。
球際の激しさ。
切り替えの早さ。
これに圧倒され、自分たちの良さが何ひとつ出せない…
やりたいことを何ひとつさせてもらえない…
それどころか、相手のプレスの強さに正常な判断が奪われてしまった。
前半ですでに大量失点。
自分のプレーが全く通用しない…
この経験ができることがとても重要だと思う。
そしてここで何を感じ、何を想い、どうリアクションするかがとても大切なのです。
何枚も写真を撮ったのだけれど、オーストラリアがボールを持っている場面がほとんどだった。このレベルでボールが普通に持てるようになるともっとサッカーが面白くなるよね。
自分を表現する力
オーストラリアの選手たちはゴールを決めると、選手全員が喜びを爆発させる。みんな本当に心から喜びを表現するんです。
デュエル(1対1)の局面でも、相手のシャツを引っ張ってでも絶対に負けないんだ!という意志が伝わってくるようなプレーをする。
抜かれてしまった時は、悔しい感情をあらわにし反則ギリギリの厳しいタックルをお返しする。つまり、選手一人ひとりが自分をこれでもかと表現する。
これは海外に出て感じたことだけれど、サッカーの強い国は決まってこのピッチでの自己表現力が高い。やはり、スエルテの選手たちもここは課題なのだと思う。
自分の力を100パーセント出すことができる選手にならなければならない。
本当の意味で勝つためにやるべきこと
後半、多少相手のサッカーに慣れてきて、少しづつボールを前へ運べる場面が出てきた。闘争心にスイッチが入れば、そこそこやれるということです。
でも、まだまだやれる。
本当に勝ちたいと思ったら、こんなもんじゃ全然ダメ。
一人ひとりがもっと味方を鼓舞するはずだし、要求するはずだ。
悔しい感情も、怒りの感情ももっともっと自然に出せるようにならなきゃいけないと思う。
現状を変えるということは、覚悟が必要だ。
覚悟するか、しないかは感情が決める。
絶対に勝ちたい。負けたくない。状況を変えたい。
そういう思いは、悔しさ、悲しさ、怒り、といった感情がきっかけになる。
それを麻痺させたら成長は止まってしまう。
オーストラリアの選手たちは、ピッチで自然に感情表現していた。
自分たちを制御せず、解放していました。
そうすることで潜在能力をより引き出すことができるということです。
この一試合は普段得ることのできない、とても貴重なものとなりました。
選手自身がオーストラリアの選手たちからたくさんのことを学び、次に繋げて欲しい。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…