ゼロからサッカーを伝える美しさ
アメリカ領サモアの世界最弱のチームをW杯ブラジル大会予選で勝たせる。このミッションをリアルに描いた美しいドキュメンタリー。
私はこのピュアで美しい映画に心底胸を打たれた。どうやってサッカーを伝えるか。どうやって戦うことを伝えるか。そんな普遍的なテーマについてひとつの答えを出すことができた。
指導者の目線、選手の目線もリアルに描かれている。
サッカーに携わるすべての人に見てもらいたい映画。
選手も指導者も見るべきだ。
圧倒的な弱さを誇るサッカーチームを奮い立たせる
アメリカ領サモアというチームが戦うのはオセアニア地区の予選だ。オーストラリアがアジア地区に異動したため、オセアニアで強いチームはニュージーランドしかいない。そのニュージーランドも大陸間プレーオフで南米、中南米の敗者である強豪国に勝たなければW杯出場はできない。力関係を考えると事実上、ほぼW杯出場は絶望的な状況なのである。その中でもFIFAランク最下位で、2001年にはオーストラリアに0-31で屈辱的な大敗をするなど圧倒的な弱さを誇るアメリカ領サモアである。
英語の予告↓
映像を見ればわかるのだがホントにひどいレベルであることがわかる。技術レベルだけで言えば日本の中学サッカーの方がよっぽど上手い。人口5万人程度、国は貧しく、良い選手はみな国外にでてしまう。そんな国の代表チームをいかにして勝たせるかということでやってきた新監督がチームを強くするために思い切った行動に出る。選手たちにいかに”勝者のメンタリティを植え付けるか”。”サッカーをどうやって伝えるか”というところは本当に面白い。
サッカーを伝えるのは非常に難しい。
日本語版予告↓
Next Goal Wins - Official Trailer - YouTube
映画『ネクスト・ゴール!世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦』予告編 - YouTube
映画の美しい登場人物
ポリネシアの「第三の性」に属するジャイアは女性として振舞う男性で、素晴らしい持久力と反応力を持ったディフェンダーでもある。米軍に所属しているのに、有給休暇を使ってチームのために帰ってくる若き名選手、おじいちゃんがサモア出身というだけで代表チームに加入するセミプロ、アメリカでの仕事を放り投げてチームに戻ってくる伝説のゴールキーパー。皆良い顔をしている。カメラはそれを余す所なく撮影している。オランダ人監督が話す個人的なエピソードも涙を誘う。美しいスローモーション、転がるボール、流れる汗・・・まるでCMのように爽やかな映像が否応無しに僕らを感動させる。
こちらのレビューが素晴らしいので上記引用させて頂きました↓webneo.org
サッカーは上手いとか下手とかよりも重要なこと
あまり書き過ぎてしまうともったいないので、これ以上内容については書かない。実際映画を観て頂きたい。
サッカーの本質が詰まった映画である。サッカーは上手いとか下手とかはそこまで重要じゃない。もっと大事なものがある。サッカーは人の心を映し出す。あるがままの自分を出すことを求められる。いくら上手くたって、どんなにテクニックがあったって感動をもたらさない。人の心は動かない。強烈な想い、不屈の精神があるがままの自分からでてきた時、それを表現できた時にはじめて人の心は動く。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…