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横浜FC、松尾佑介のゴールから学ぶ、今更訊けない「3人目の動き」の基本とは

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Jリーグ第13節、C大阪vs横浜FC。

 

 

後半41分に横浜FCの松尾佑介選手が決めたゴールが筆者の目を引いた。

 

 

解説や指導の現場でよく聞く

 

「3人目の動き」

 

という言葉。

 

 

浸透していると思われているが、今更意味が聞けない、実はよく分かっていないという人も少なくないだろう。

 

そこで今回はこのゴールを題材に、3人目の動きについて改めて解説したい。

 

また選手の方は、どのタイミングで動きを判断しているのかに注目して読んで欲しい。

きっと自分のプレーに活かせるはずだ。

 

 

 

ゴールの映像

 

 

まずは映像からご覧いただこう。

 

 

 

 

 

 

 

こちらがゴールシーンである。

 

このゴールの時に松尾が見せた動き、それが3人目の動きだ。

 

 

 

「3人目の動き」の意味

 

 

 

まずは言葉の意味から整理したい。

 

一般的に言われる3人目の動きを分かりやすく簡潔に言えば

 

「1つ先のパスを受ける動きをする」

 

ということになる。

特にワンタッチで行われるプレーを指すことが多い。

 

 

今回のシーンで言えば、14番の志知から23番の斉藤への浮き球のパスが出た瞬間に、斉藤から受けられる動きをした部分だ。

 

 

 

パスの出し手、志知が一人目。

受け手、斉藤が二人目。

 

基本的にパスは二人の関係で行われる。

そこにワンタッチで受けられる三人目、松尾が現れる。

これが3人目の動きのおおまかな定義といえる。

 

 

守備側は出し手と受け手の対応が基本だ。

志知がボールを持っているときは斉藤も松尾も対応できている。

 

だが斉藤へのパスが動いている間。

この数秒間だけは斉藤への対応に意識が大きく割かれてしまう。

 

結果として3人目である松尾への対応が出来なかったわけだ。

 

 

このように、ワンタッチで3人目が関わることは攻撃において有効性が高い。

だからこそ選手は狙うし、解説もその動きを取り上げるのだ。

 

この言葉の意味が理解できれば、例えば解説が試合中に

「3人目の動きがないですね・・・」

と発言したとき、

 

「あー、出し手と受け手の二人しか連動できていないのか。

 だから突破できないんだな」

 

とピッチで起こっていることが理解しやすくなる。

 

 

 

松尾の判断のタイミング

 

 

 

では松尾はどのタイミングでこの判断を下したのだろうか。

 

 

ここからは映像を元に筆者が独自に推測しているため、もしかしたら本人の脳内とは違うかも知れない。

だが、選手や指導者の方はこのプロセスを一つの参考にして欲しい。

 

 

まず志知からパスが出る前から、背後に斉藤がいることは分かっているはずだ。

 

だが斉藤がボールを要求する瞬間は、おそらく見えていない。

 

f:id:gosurokachi:20200831215806p:plain

(引用元・・・Jリーグ公式Twitter)

 

 

パスが出て振り向いた瞬間、松尾はDFの配置を確認。

 

まずここで走り出す決断が早かった。

この早さで決断できるということは、3人目の動きを意識したトレーニングをチームとして積んでいる可能性が高い。

 

監督を務める下平さんは、パスサッカーの指導に定評があることもその可能性を感じさせる。

 

 

振り向いた瞬間の状況がこちら。

 

 

f:id:gosurokachi:20200831220202p:plain

 

 

この配置を見た松尾は、カバーがいない右側への走り込みを選択。

 

その動き出しに対し、斉藤も上手く体を入れ胸で落とすことに成功した。

 

 

ここで斉藤が上手かったのは、最初からパスする気満々、という素振りがなかったことだ。

仮にDFがパスに重点を置いた対応をしたら、左側に胸トラップで流して突破できたであろう体勢を維持している。

 

斉藤のギリギリまで待つ判断と正確に胸でパスを出す技術。

カバーがいない方向に素早く走り出した松尾の動き。

それを引き出した志知のパス。

 

3人の技術と脳が噛み合って生まれたゴール。

このゴールは、神業でもなければ派手でもない。

 

だが優れた選手でなければ生まれない、素晴らしいゴールである。

 

 

 

サッカー用語を知る意味

 

 

なぜ皆、「3人目の動き」という言葉を使うのか。

 

この言葉には

・第三者が絡むこと

・最適なタイミングであること

・DFの対応が難しいセオリーであること

という複数の意味合いを持つ。

 

この複数の意味をそれぞれ個別に伝えるのは大変だが、

「3人目の動き」

という共通の認識があれば一言で伝えることが出来る。

 

サッカー用語には使用するメリットがあるのだ。

 

だからこそ、その言葉の意味を知ることでもっとサッカーは面白くなる。

 

と同時に言葉の認識を広げる活動が、日本サッカー界には急務ではないだろうか。

筆者も今後、用語を実例の映像を使いながら解説する機会を増やしたいと思う。

 

その認識の広がりは、きっと草の根から日本サッカー界をもっと面白くしてくれる。

 

 

なにより、皆様にもっとサッカーを楽しんで欲しい。

そのために知識や知見を共有できればと筆者は切に願っている。

 

 

 

筆者ブログの紹介 

筆者:山田有宇太 (@Grappler_yamayu) | Twitter

筆者はこのように、プレーを言語化する取り組みを現役時代から継続して行ってきた。

その一つの集大成として、中高生に向けたブログ

 

「読むサッカーの上達サイト~中学生、高校生へ向けて~」

 

reading-football.work

 

というサイトを運営している。

 

 

中高生に限らず、

 

・もっとサッカーを楽しみたい

・サッカーを深く知りたい

・選手がどんなことを考えているのか知りたい

・指導の参考にしたい

 

といった様々な方のご参考にもなればと思う。

 

 

もし興味があれば、こちらも覗いていただければ幸いだ。 

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