冬になると、高まる保護者のトレセン熱。
「トレセン」というと、選ばれし者、というなんだか特別な響きがあるのでしょうか。
選考会にリフティングがあると、毎日必死にリフティングをさせる。
選考会でチェックされる項目を調べ、直前まで子どもに指示する。
まるで、加熱するお受験戦争のようです。
選手より一生懸命な大人…、周りにいませんか?
我が子がトレセンにいることで優越感を持ち、他の子との比較にばかり目がいってしまう保護者。
最初はただトレセンに選ばれたことが嬉しかった子どもたちが、大人の言葉かけ次第で、そのうち「自分は他の子とは違う、特別なんだ」と思い込んでしまう。
トレセンの弊害と言えるのかもしれません。
一方で、優越感に浸ることはなくても、大人に言われるがまま選考会に参加し、まるで習い事のようトレーニングに行く選手もいます。
それまでは純粋にサッカーを楽しんでいたのに。
先日、トレセンに選ばれた選手が、今からトレセンの練習があるから…、と所属チームの活動の途中で保護者に連れられて帰っていきました。
チームメイトを横目に、後ろ髪をひかれるような表情で。
「行きたくないの?」という問いかけに、彼は「トレセン面白くない・・・」と答えました。
やらされていることが、面白いわけがありません。
それでも、大人の思いに応えようと、彼は「トレーニング」に行きました。
「楽しい遊び」ではなく、「トレーニング」に。
「トレセンでレベルの高い子達の中でプレー出来るかもしれない」
「指導者の目にとまって、もっと上の選抜チームに選ばれるかもしれない」
大人としても色んな思いが交錯するでしょう。
でも、大人は考えないといけない。
「サッカーが楽しい」「ボールを蹴りたい」という気持ちこそ、その先のステージへと子どもたちを導いていくもの。
「トレセン」が、親や子どもの感覚を麻痺させ、子どもからサッカーの楽しさを遠ざけるものにならないことを願っています。
プロフィール
サッカー少年の子どもを持つ母
子どもたちをもっと笑顔にするためには大人が変わらないといけない…
本には大人が変わるヒントがたくさん散りばめられています。
大人の心を育む本をご紹介していきます。