「 本当にサッカーが上手いとは
どういうことか 」
というテーマでの執筆依頼をいただき
あれこれと思考を巡らせてきたのですが
どうにも考えがまとまらず、言語化もできない。
そんな状態のまま
同じテーマについて書いた
久保田さんや岩佐さんの記事を読んだら
間違いなくそっちに引っ張られてしまうと思い
読みたい気持ちを必死に抑えてきました。
でも、自分の考えがまとまることもなく
秋が過ぎ、冬が過ぎ、春も過ぎ、夏もほぼ終わりに。
そう、1年ちかくも
時間が経ってしまっていたのでした。
9月に入り、
時間と気持ちにゆとりが生まれたので
よし、今さらだけど
あらためて思考してみようと
コスタリカ産のコーヒーを淹れ、
最近ハマっている
ご機嫌なラテン音楽の
コンピレーションアルバムをかけ、
草が伸びきった我が家の庭を
ぼーっと眺めていると
「 ある光景 」が思い浮かびました。
サッカーと直接的には関係のないその光景。
けど、こんなタイミングで思い浮かんだのなら
そこに自分が無意識で感じている
「 本当にサッカーが上手いとは 」と
何かリンクしていることがあるはず。
そこで、書き始める前に
まずは最初にもらった執筆依頼のメッセージを
あらためて読み返してみることにしました。
すると、その日付は「 2017/09/03 」
これを書いてるのは「 2018/09/03 」
なんと、ちょうど1年前!これは何かある…
ということで
どんな結論に向かうのかは
自分でもわかりませんが
ひとまず描いてみようと思います。
はて、どこに着地するのだろうか。
わたくし有坂は2017年の春
ずっと住んでいた東京を離れ
福岡県の糸島に移住しました。
糸島といっても
島ではなく陸続きの半島
海があり、山もあり、
食材にとても恵まれた土地で
米、パン、肉、魚、野菜、酒などなど
何をいただいても本当に美味しいのです。
そんな糸島に本店がある
「 牧のうどん 」という、うどん屋さん。
福岡県は
とんこつラーメンが全国的にも有名ですが
じつは、しっかり根づいた
うどん文化も存在しています。
関東では
食べる機会の少ない柔らかな麺が特徴。
トッピングにはゴボウの天ぷらや
九州の甘い醤油で味付けをしたお肉が人気で
かしわごはんという
炊き込みご飯とのセットが定番。
福岡には
有名なうどんのチェーン店がいくつかあるのですが
個人的に一番好きなのが、牧のうどん。
甘みのあるスープ
チェーン店らしからぬ大衆的な雰囲気そして、
働いている人たちに惹かれてしまうからです。
僕がよく行く本店は
カウンター席あり、テーブル席あり、座敷あり
ちょっとした離れもありという大きなお店で
働いている人たちの数も多いのですが
この人たちの仕事の出来るっぷり
さらにはチームワークが抜群なのです。
ホールの人は、水出し担当と
それぞれの席エリアによっての配膳担当が
キッチンの人は、麺ゆで担当と盛り付け担当が。
( もしかしたら他にもあるかも )
このそれぞれの役割をこなしていく
正確性とスピード感が
とにかく素晴らしいのです。
注文して2~3分後には
うどんが到着するのですから!
でもその動きは
急いでるというよりも
無駄がないからこそのスピード感
という感じで。
現在サッカー選手としてチャレンジしている
ウサイン・ボルトが言っていたこの言葉のよう。
速く走るためには
速く走ろうと思わないことだ。
スピードを保てばいいのに
さらにスピードを上げようとしている。
大事なことは
トップスピードに乗ったらフォームを保ち
スピードを維持することだ。
多くの選手は、トップスピードから
さらに速くなろうとする。
それでは、速度にテクニックが追いつかず
逆に遅くなってしまう。
トップスピードに乗ったら
それ以上は速くならない。
だからといって
“ その記録を超えよう ”
と焦ってはいけない。
速く走ることばかり考えて
逆に遅くなる選手はたくさんいる。
速く走ろうなんて考えるな。
“ 自分の走りをすることだけ ”を考えたほうがいい
そして自分の役割以外でも
お客さんを案内したり、オーダーをとったり
会計をしたり、下げものをしたりと
臨機応変に次々と他の仕事もこなしていきます。
お客さんからの
「 すみませーん 」への反応スピードも最高で。
しかもそれらが
他の人と決して重なることもなく
とてもスムーズなコンビネーションで
展開されていくのです。
1990年代前半のACミランや
サッリが監督を務めていた
昨シーズンのナポリを彷彿とさせる
見事なまでのオートマティズム!
さらに
精神的に張り詰めた感じがまったくなく
お客さんとニコニコと
世間話をする余裕すらあるので
お店の雰囲気はあたたかくて、柔らかいのです。
心底思いました。
「 これがサッカーチームだったら
めっちゃ強そう… 」
個として自立しているから。
で、それがごく自然と融合しているから。
自分が担当する作業の正確性とスピード感
お客さんと他の従業員の動きを感じ取る察知力
お店の状況に合わせて
やることを変えていく対応力。
予測が立てづらいカオスな環境の中
自分の仕事を軸にしながら
周りとも協働していける。
初めてこの
牧野うどんショックを受けたときに
ここにピタリと当てはまる
サッカー選手って誰かなと考えていました。
真っ先に思い浮かんだのは“ イニエスタ ”。
自分ひとりでも違いを見せられるし
味方と協働できるレベルもおそろしく高い。
しかもそれを気合い入れてやるわけでもなく
自然とさらっとやってのける。
その昔
「 グレイトフル・デッド 」というバンドの
ボーカリスト・ジェリーガルシアが
国や人種、時代を問わず熱狂的に愛される
「 ビートルズ 」をこう評していました。
「 友人のような音楽。
それはすごいことだよ 」
世界中の人たちが衝撃を受けるほどの
圧倒的な音楽力とオリジナリティなはずなのに
どこか親しみや距離の近さを感じさせてくれる。
だから
「 自分にはできないわ… 」
じゃなくて
「 自分もやってみたいなぁ 」
につながっていっては
彼らのコピーバンドがどんどんと生まれていった。
そして、
世界中に音楽の楽しさが広がっていった。
うん、本当に
「 それはすごいことだよ 」と思うのです。
で、イニエスタにも
それと近いものを感じるんですよね。
「 友人のようなプレー 」みたいな。
メッシやC・ロナウドのように
フィジカル的に異次元な感じだと
ちょっと自分との距離が遠くなるけど
イニエスタのドリブルやターンやパスだと
なんとなく自分もやれそうな気がして
( とんでもない勘違いなんですがね… )
思わずダブルタッチの突破を真似してみたり。
さらにいうとイニエスタは
チームメイトみんなにとっての
「 友人のような選手 」でもあるんだろうなと。
ものすごく楽しい遊び方を知っていて
それをさらりとやってのけ
ワクワクさせてくれては
こっちが上手くできるよう
すぐ近くで手助けもしてくれる。
彼と一緒に遊んでいると
気づいたら自分が上手くなっていて
もっと遊びたい気持ちにもなっている
それまで知らなかった
楽しさや喜びも味わっている。
そんな一緒に遊びたいと思わせてくれる
友人のような選手な気がするのです。
世界で一番、一緒に遊びたいと
思われている選手かもしれないなぁ。
「 本当にサッカーが上手いとは
どういうことか? 」
今の自分にとっての答えを
言葉で少し強引に表すならば
「 友人のようなプレーができる
友人のような選手 」
イニエスタ以外だと誰になるだろ
バルセロナに加入したアルトゥールなんかも
どんどんとそんな選手になっていきそう。
あ、自分の好きな選手ばかり…
そっか、もしかしたら
本当にサッカーが上手いとはの答えは
それこそ人の数だけあって、で、それは結構
自分の好みとリンクしている気がします。
うん、意外なところに着地したなぁ。
みなさんにとっての自分の好みとは?
そして「 本当にサッカーが上手い 」とは?
ぜひぜひ考えてみてくださいねー
サッカーの本質を追求する旅はつづく…
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