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北野武氏の世界観が好きだ。
世間の声やトレンドに迎合することがない生き様。
そして常に本質を捉える言葉には説得力がある。
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北野武が言う無知の知とは
インターネットで手軽に知識を 得ることはできても、手軽に得られるのは 手軽な知識でしかない。
悩まない人間は、人の悩みも理解しない。
この世は、白か黒か。
自分は白で、自分は絶対に正しい。
そういう薄っぺらな発想しか出てこない。
自分が知らないってことを知ることが、本当の知恵だという意味だ。
世界は不思議だ。よく考えてみれば、何がなんだかわからないことだらけだ。
なぜ雲は空に浮かんでいるのか。どうして人は人を好きになるのか。
そもそも、人間とはいったいなんなのだ。
なんのために生きているのか?自分は何もわからないってことがわかると、人間は謙虚になる。謙虚になってはじめて、人間は何かを学ぶことができる。
どんなに歳をとっても、偉くなっても、自分が何も知らないってことを忘れちゃいけない。
無知の知というのは、そういうことをいっているんだと思う。
しかし、そんなことをいうと、「雲がなんで浮かんでるかなんて、ネットで調べればすぐわかるよ」っていう奴が必ず出てくる。
たしかに最近は、ネットで調べれば、たいていのことが「わかる」ようになった。
俺だって、そういうものを使わないとはいわない。
百科事典に書いてあるのと、たいして変わらない答えしか出てこないけれど、簡単にそれなりの知識は得られる。
知ったかぶりくらいはできるようになる。便利にはなったかもしれないが、ただそれだけのことだ。
以前、まだ20代の頃だっただろうか、職場の同僚と言い合いになったときのことを思い出した。
同僚と酒を飲んでいたときのことだ。
上司のことが理解できないと言う同僚が、そういえばあいつもちょっと理解しがたい… と、職場の別の仲間まで否定する調子になったとき、思わず私がこんな話をした「人と人が全てを理解し合うことは出来ないと思う。でもそれで良いじゃないか。性格も違えば、趣味も違う、考え方が違うから当然全てを理解することなんて出来ないよ。」
すると同僚が、「俺はお前のことを理解しているつもりだ。じゃなきゃ一緒に仕事をすることなんてできない。仲間なら全てを理解するべきだ。」と。
この後、何か腑に落ちないままその場をやり過ごして家路に着いたのだけれど、今思い返すと、言語化できそうでできていなかったのだなと思う。
「人を理解するということは、理解できないことを理解することなんだ」と。
無知の知というのは、“知る”っていうのは自分が“知らない”ということを知ること。
こう考えることで少し寛容になれる気がする。
私はあなたの全てを理解している。などと言われると嘘をつけと思ってしまうし、理解されてたら気持ち悪いと思ってしまう。
人と人は距離感が大事なのだと思う。
近すぎてもダメだし、遠すぎてもダメなのだ。
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