大人になってから学ぶサッカーの本質とは

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元U17メキシコ代表監督マリオ・アルテアガ氏に聞いた、日本サッカーの可能性

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17歳以下の元メキシコ代表監督であるマリオ・アルテアガさんにお話を聞く機会を得ました。

ユース世代の世界大会では毎回優秀な成績をおさめ、欧州の強豪チームのスカウトもメキシコの若手選手には常に注目していると言われています。

そんな育成大国メキシコのU-17を率いて、世界大会でも注目を集めた元指揮官にメキシコの育成の秘密、日本サッカーについて伺うことができました。

 

マリオ・アルテアガ(Mario Arteaga)

バルセロナ五輪ではメキシコ代表メンバーとして活躍し、引退後は指導者の道へ、故マラドーナが監督として話題になったドラードス・デ・シナロアで監督経験を経て、レオンやベラクルスなどメキシコの名門クラブでアシスタントコーチを務めた上で、2014年にU-17メキシコ代表の監督に就任。U-17代表ではCONCACAF U-17 Championship を優勝、同年FIFA U-17 World Cupでは4位という実績を残している

 

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Entrevistador(聞き手):Kei Imai

Interprete(通訳):Mizuho Nishikawa

 

メキシコの育成年代が強い理由

ーーメキシコの育成年代における課題について聞かせてください。

 メキシコの育成年代は世界大会で常に好成績をおさめています。世界の強豪と呼ばれる国に決して引けをとらないと思っています。優秀な若手を見つけ出すシステムも構築されています。課題といえば、トップチームに上がった後、才能が十分に開花せずポテンシャルを発揮できない選手が多いということでしょう。

 

ーー若手の才能が開花しない理由はなんでしょうか。

 メキシコリーグは欧州の強豪国に匹敵するほどサッカー選手の給与が高いのです。例えば、スペインのセビージャやベティスから待遇の良いオファーがきてもメキシコ国内リーグのクラブのサラリーとあまり変わりません。つまり待遇面では魅力的に見えないということもあるでしょう。若い選手が高給を手にし、周りからももてはやされることで天狗になってしまうケースも多くあります。メキシコのサッカー選手のステータスが高いことはいいことでもありますが、選手の内面の教育もしっかりとやっていかなければならないということです。あとは国内リーグのレベル・競争力をより高めていくことも大事だと思います。

 

ーーメキシコの育成年代が優秀な理由を教えてください。

 メキシコのトップリーグ(日本でいうJリーグ)とユース世代が同じスケジュールで運営されていることが挙げられると思います。トップリーグの前にユース世代のリーグ戦が行われることでトップチームのスタッフの目に留まりやすくなっています。ユースの選手がよいパフォーマンスをすれば、トップチームのトレーニングに参加させてみたり、早い場合は翌週のリーグで少し使ってみたりということもあります。優秀な若い選手を上に引き上げるという点ではとてもよい仕組みになっていると思います。ユースの選手たちもそれを理解した上でチャンスを狙っています。若くしてトップレベルを経験する機会があるのはとても重要なことだと思います。メキシコも昔は、才能ある若手がたくさんいたのに見出すことができませんでした。才能ある若手、ポテンシャルのある若手を拾い上げる仕組みが大切なのです。才能を見出す力、それこそ指導者に求められることです。

 

ーー日本では一貫したコンセプトに基づいて選手育成が行われていないと感じています。それぞれのクラブがドリブルに特化して指導したり、逆にパスサッカーを標榜したりということがあるのですが、メキシコはいかがでしょうか?

 街クラブという話になると、日本と同様に自由なスタイルで指導するクラブはあると思います。しかしながら、アカデミーと呼ばれる選手育成をメキシコサッカー協会が主導しているところでは、しっかりとした育成コンセプトに基づいた指導が行われています。

 

チームが成長するには競争力が重要

ーーU17メキシコ代表監督の時、素晴らしい成績を納めましたがチームが成長したきっかけになったエピソードはありますか?

 チリで行われた国際大会で優勝した時のことはとても印象に残っています。メキシコトップリーグに所属する主力メンバーの多くをクラブ側の都合で呼ぶことができず、各チームで主力ではない2番手3番手の選手たち中心で挑まなければならない苦しい状況でした。しかしながら彼らはとてもよいパフォーマンスを魅せてくれました。それからは当時主力だった選手たちよりも良いプレーができるようになり、結果的に大会では優勝することができました。チーム力を高めるには競争力がなくてはなりません。私が一番大切にしているのはチーム内の競争力です。良いプレーをすれば試合に出るチャンスを与え、そうじゃなければ外すというシンプルですが、召集されたすべての選手の競争力をいかに高めるかという考え方が報われた瞬間でもありました。

 

自分たちの特性を踏まえ、どんな環境でも力を100%発揮できるように

ーー日本人はどんな印象がありますか?

 誠実で、勤勉で、相手の気持ちを尊重できる精神はとてもリスペクトしています。我々メキシコ人にも学ぶべきことがたくさんあります。メキシコ人が日本人のように、より誠実で勤勉であればメキシコという国はより素晴らしい発展ができると思います。

 

ーー有難うございます。日本サッカーの印象はいかがでしょうか?

 日本の育成年代の選手たちは、とても可能性があると思います。持久力があって、速さがあって、テクニックもあります。とてもポテンシャルが高いです。しかしながら、これらの特性を生かし切れていないのではないかと思います。

 

ーーマリオさんが日本の育成年代の指導をするとしたらどのような指導をしますか?

 ユース世代を指導するならば、国際トレーニングマッチをたくさん経験させます。選手たちが世界のあらゆる特性を持つ相手に対しても、自分たちの良さを発揮できるようにする為です。国内で強い相手とトレーニングを重ねるだけでは不十分で、日本ではない文化と特性を持つ相手に慣れることがとても大切です。雰囲気もグラウンドの質もすべてが異なるわけです。その上で自分たちの力を100%を出せるようにアプローチします。

日本サッカーの発展を心から願っています。

  

オリンピックセンター オンラインコース受講 募集

主催: メキシコ‐日本 エンラセ委員会
関連リンク: YouTube動画 メキシコオリンピックセンター

メキシコオリンピックセンター後援 「サッカーオンラインコース」 を開設します!
講師には、元U-17メキシコ代表監督であり、2011年FIFA U-17世界大会優勝 ほか、指導者としても素晴らしい実績をお持ちの Mario Arteaga (マリオ・アルテアガ)氏をお迎えします。 青少年指導に定評があり、ご自身は、「選手達が自発的に行動するための指導を!」をモットーとされています。
指導者対象
マリオ・アルテアガ氏自身が、日本の指導者として活躍されている方々と面談をさせていただきました。
その結果、チームのレベルに関わらず、指導者の方々が、「選手に接していくうえでの指針、指導の過程で迷ったときの助言や話し合い」を必要とされていることがわかりました。
このニーズを踏まえたうえで、同氏が、自分の経験を取り入れたコースを行っていきます。ビデオを介した講義のみならず、同氏と直接、話し合う機会を持っていただけることも、本セミナー・コースの特徴となっております。

【問い合わせ先】

aminc@apaxmirai.com までメールにてご連絡下さい。