日本サッカーにはマリーシアが足りない…
もう何十年も前からこう言われ続けている。
月日は流れ、アジアでは常にトップを争うレベルになり、W杯でも常連になった日本代表。
強くなった。
これは間違いない事実であるけれど、今なおマリーシアが足りないと言われる。
最近のサッカー人は「マリーシアってそんなに重要?そんなのなくたって勝てるじゃん」、そういう声さえ聞こえてくる。
日本人にはマリーシアは不要なのだろうか?
そもそもマリーシアなんてサッカーに必要ないのだろうか?
マリーシアとはなんだろうか
マリーシアとは 、 「狡猾さ 」だけを指し示す言葉ではない 。「柔軟性を持った発想力 」である 。マリーシアとは 、 「勝つために必要な駆け引き 」である 。そして 、マリーシアはブラジル人特有のメンタリティや価値観ではなく 、フットボーラーなら誰もが身につけるべきスキルである。
— Kei Imai (@Keivivito) April 26, 2019
「選手たちが自分たちの手で、試合の流れをつかんで放さないための工夫をすることがマリーシアだと、私は理解している。マリーシアを持っていると言われる選手は、そういうことができる選手だ。」
— Kei Imai (@Keivivito) May 7, 2019
マリーシアの日本語訳である 「狡賢さ」とは、「ズルくて賢い」ということである 。ところが、「ズルさ」は 「汚さ」や 「悪さ」にしばしば置き換えられ、「狡賢さ 」に含まれるはずの 「賢さ 」が打ち消されてしまっている。ブラジル人は違う 。
— Kei Imai (@Keivivito) May 7, 2019
これらのツイートはこちらの本を参考にしています↓
ブラジル人はマリーシアをどのように捉えているのだろうか?
マリーシアという言葉そのものは、サッカー界に広く浸透している。マリーシアをうまく使いこなす選手も増えてきた。僕自身はそんなふうに考えていた。しかし、日本でプレーするブラジル人Jリーガーに聞いてみると、どうも様子が違った。「日本人も技術 は高くなってきていると思う。でも、まだまだマリーシアが足りないところがあるのでは」と、彼らは口を揃えるのだ。 試合終了間際の時間稼ぎは、日本人選手もごく普通 にやっている。接触プレーで、うまく倒れることもできている。それなのに、ブラジル 人選手は「まだまだマリーシアが足りない」と言う。選手たちが自分で判断をしなければならない。選手たちが自分の頭で対応できるかどうかが大切だ」イビチャ・オシム前 日本代表監督のコメントである。
マリーシアについてカカが語ったこと
— Kei Imai (@Keivivito) April 26, 2019
「ブラジルでは 、プレ ーをしながら学ぶものなんです 。ちょっとズルくなるということかな 。他の人たちのやっていることを見て、同じように真似をして 、同じ結果を得られるように 、やりながら学んでいく。だから 、自然と身についていくものだと言える 」
「マリーシアの源は、勝ちたいという強い気持ちだと思うんです。そういう気持ちがあれば、マリーシアはついてくる。強い気持ちがあれば、勝つために色々と考える。その気持ちを異常と言っていいほど持っているのが、僕はアルゼンチンだと思う」と元アルビレックス新潟のシルビーニョ
— Kei Imai (@Keivivito) May 7, 2019
マリーシアという言葉は「狡賢さ」というニュアンスが日本では強いけれど、決してそれだけではないんです。
日本という国でしかサッカーをプレーした経験がない人は、マリーシアとはなんなのかピンとこないかもしれない。私は中南米を旅した時に、メキシコ、グアテマラ、ホンジュラスの草サッカーを経験してマリーシアの本質を体感することができた。
今なお、日本に住む南米出身者とボールを蹴れることがあるが、彼らとプレーすることほど面白いことはない。なぜだろうかと考えるとマリーシアというものが大きく影響している気がしてならない。
彼らは試合になるとこう口にする。
Vamos con todo!!(全て出せ!全部出し切れ!)
Hay que ser vivo!(全て出せる状態であれ!)
彼らとプレーすることで、日本では決して味わうことができなかった感覚を味わうことができた。自分の感情を表現することに躊躇しないそのスタンスは120%の力を発揮させるんです。
日本のサッカーは制御されることが圧倒的に多い。これは文化の違いなのですが、同調圧力、出る杭は打たれる文化では自分を解放しようものなら徹底的に排除されてしまうわけです。
南米は真逆です。自分を表現することがデフォルトであるからサッカーで自分を出せず、制御してしまう日本人を見ると違和感を感じるのだそうです。
私は日本人にはマリーシアが必要ないとは思わない。これはデフォルトで備えておくべき要素だと考えている。
もし、日本人にマリーシアがあったならきっと世界のトップレベルで戦えるかもしれない。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…