前回に引き続き、興国高校サッカー部の育成メソッドをご紹介していきたいと思います。
前回は「サッカーは人間がやるもの」というテーマで書きました。
今回は、育成年代の問題の一つ、「保護者に求められるスタンス」について書いていきます。
興国高校サッカー部は全国大会に出ていないのにJリーガーを多く輩出する。チームを率いる内野監督は、Jリーガーになった選手と親御さんを何人も見てきている。
そんな内野監督が語る「プロに進む選手の親に共通すること」は非常に興味深いものでした。
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プロに進む選手の保護者に共通すること
興国からプロに行った選手の家庭に共通しているのは、保護者が明るくて、試合をよく見に来てくれていたことです。すごく応援し、サッカーのことについては一切口出しをしませんでした。僕とも友好的にコミュニケーションを取りますし、こちらからしない限り、サッカーの話はしません。「監督、元気?いろいろ大変やね」みたいな感じで、世間話をしてケラケラ笑っています。
たまに僕が「ちょっと、おたくの息子さん、僕のことなめてますよ。この前、こんなこと言われたんですけど(笑)」とかフランクに話して「あら、すんません。私からも言っておきますんで」みたいな。これも大阪のノリですよね。
なかには自分も若い頃はサッカーをしていて、詳しいお父さんもいます。僕に対して、言いたいこともあるのではと思いますが、ほとんど何も言ってきません。「いつもありがとうございます」みたいな感じで、僕も「こちらこそ、ありがとうございます」というようなスタンスですね。だから、僕としても選手に気を使わずに指導ができるんです。
「こんなこと言ったら、親からクレームが来るかな?」と少しでもよぎったら、言葉を選んでしまいます。
ガツンとぶつかることができると、遠慮なく言えるし、深く関わることができます。だから、選手も本気になってくれるんだと思います。
才能がある選手の中には、親の関わりによってダメになる子はたくさんいます。
例えば、あるジュニアユースの監督さんから「お前のところに〇〇って選手、練習に行ってるやろ?あいつ獲得するんか?」と言われて「なんでですか?」と訊くと「あいつの親、口出ししてくるので、だいぶややこしいらしいで。監督が息子にあんなこと言った、こんなこと言ったとふれ回っているらしい」と。
直接、その選手が所属するチームの監督は言ってきませんが、周辺の人から伝わってきます。
そう言われても、僕には関係ないので良いと思った選手は獲りますが、その選手はかわいそうですよね。
親の言動で子供のチャンスを潰すことになりかねませんから。
試合を見にきてくれる・明るい・サッカーには口出ししない
これ、私もよくわかるんです。
ジュニア世代の指導に携わった際に、何度か保護者の方々に口を出されたことがありました。サッカー以外の教育的なアドバイスなどは有り難く聞いていたんですが、他のクラブを引き合いに出されて、なぜこうやらないのかetc..など、トレーニングなどにもしつこく口を出してくる保護者の方がいらっしゃいました。コンセプトが違うので違うクラブへ行けば良いと思うのですが、そういう方に限って、子供ではなく親だけの判断で意思決定してしまうんです。当然、そのお子さんは好奇心も主体性も常に弱かった。試合を見に来れば、勝利に固執し、子供が思うようにプレーできないと厳しい言葉を容赦なく浴びせるような人が多かった。
逆に好奇心旺盛で主体性に溢れる子供たちの保護者は、試合を見にきているけれど、その場を楽しむ余裕があって、子供たちに対しても健全な応援ができるんですね。
子供の未来に関わる大人のスタンスはとても大切だと思います。
育成年代でも大人が目先の勝負にこだわりすぎて、子供の好奇心を壊してしまうということがたくさんあります。
プロサッカー選手は育てようと思って育つものではないのではないでしょうか?
才能は環境によって解放される…
— Kei Imai (@Keivivito) February 23, 2019
サッカーの本質を追求する旅はつづく…
興國高校式Jリーガー育成メソッド ~いまだ全国出場経験のないサッカー部からなぜ毎年Jリーガーが生まれ続けるのか?~ | |
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