人間は一日に35000回物事を選択をしている。
本当の数字・データなのかわかりませんが、このような話を聞いたことがあります。
例えば、皆さんは出かける際に服装を考えて選んでいきますよね。
まず気候や気温を確認。そしてそれに合った服装をいくつか考えます。いくつか考えた中から選び、服装を決定します。
- ”認知”(気候・気温の確認)
- ”分析”(気候・気温に合った服装を考える)
- ”選択”(いくつか考えたものから選ぶ)
- ”実行”(選んだ服を着る)
冒頭にあったように人間はたくさんの選択をします。たくさんの選択をした中でノーミスで間違えがない。というのはなかなかありません。
ミスをしないために重要になるのは状況を認知することです。
「晴れていて日差しが強く、気温も高いのに長袖シャツに長ズボンを着ている。」
もしかしたら自分でしっかり選んでその服装にしているかもしれませんが、「日差しが強くて気温も高くて暑い」ということの”認知”ができていないから状況に合う服装を考えること(分析)も最適な決断(選択・実行)もできないのです。
前置きがとても長くなってしまいすみません。(笑)
これはサッカーにも言えることだと僕は考えます。
ボールを持っている時にパスを選ぶのか、ドリブルを選ぶのか、シュートを打つことを選ぶのか。
いくつかの選択肢から最適なプレーを考えて実行に移すということです。
ですが、ボールを受けた時に相手との距離感や味方の状況を確認できていないとボールを失ってしまいます。
これがまさしく”認知できていない”状況です。
認知をするには、ボールを受ける前の準備が大切なのです。
必要となる3つの認知
さて、ここまで例を入れて説明してきました。
しかし、結局のところ何を意識するべきのか。何を見るべきなのか。
これらを僕が考える3つの要素に分けて書いていこうと思います。
1. 空間認知
味方と相手の位置・距離、ボールの位置・距離、ゴールの位置・距離、空いているスペース。これら4つの要素を見るというのが大事になります。
ボールを受ける前に首を振れとチームの監督やコーチに言われるのは4つの要素を見ろ!確認しろ!ということです。
しかしこれだけでは足りません。サッカーはさまざまな局面で人もボールも空くスペースも変化します。
次へボールをつなげるため、運ぶため、ゴールを決めるためには、ボールを失わないことが大切です。
2. 状況の認知
早く的確な判断をするには、味方と敵の位置や動き、空くスペースの確認、そのスペースを使う味方。
これをボールを受ける前はもちろん、ボールを受けた後にもやらなければボールを失う可能性は高まります。
しかし、状況がどんどん変化するのにすべてを見るというのは不可能に近いです。それをできるだけ可能にするには上体をあげて姿勢が良い状態でボールを持つことが重要です。ドリブルしている時に上体が上がっていて姿勢が良いと、視野が広く保てるので対峙する相手の状態だけでなく、周りの情報も認知できるようになります。
コーンドリブルの時などで姿勢を良く!顔を上げろと言われるのはこのことです。
3. スペース認知
状況の認知と被っているところがありますが、空いたスペースを誰が使うのか、自分がスペースを空けるべきなのか。
こういったことを見ておくと、空いたスペースに入ってフリーでボールを受けれたり、相手にとって嫌な位置でボールを受けれたり、相手のギャップに入ってボールを引き出したりすることができます。
認知力+高い技術を兼ね備える選手
このスペースの認知という部分で言えば、Jリーグにもポジショナルプレーや5レーン理論などといった欧州の最先端のサッカーの影響を少なからず受けてきているので、スペースの認知ができる選手が増えてきたと思います。
これら3つの認知をすべてできる選手というのは世界を見渡してもそう多くはいません。
しかし、今のJリーグにはこの3つの認知ができる選手がいます。
アンドレス・イニエスタです。
イニエスタがボールを持っていてもなかなか飛び込めないのはボールが体の真下にあってなんでもできる状態だからです。
状況に応じて判断を変えられるのも3つの認知ができているからです。
レアルマドリードに移籍が決まった久保建英も高水準でこれができます。
将来性はもちろんそうですが、認知力と高い技術力を評価されてのレアル移籍かなと個人的に思います。
今後の日本サッカーを考える
最後に少しだけ僕の考えを述べます(笑)
日本人は海外選手と比べるとやはりフィジカル面で劣るというのが少なからずあります。
では日本人の強さとは何か。海外の選手は、「日本人はアジリティがあってよく走る」と言います。あとは日本人ならではの真面目な部分からくる集団で戦える強さなどでしょうか。
しかし、世界で勝ち抜いていくため、日本が強くなるためには、認知力が必要になってくるでしょう。
もちろんそれに加えて選手としての確かな技術が伴っていないといけません。
「技術を生かす認知力」が身につけば選手としての可能性はもちろん、日本サッカーの可能性さえも広がると思います。
そうすれば、日本人選手の世界からの評価や見方、価値観が変わってくるでしょうし、日本サッカー界が大きくなっていくかもしれません。いや、なるでしょう!
ライター