アルゼンチンのニューウェルズ・オールドボーイズと言えば世界最高のサッカー選手、リオネル・メッシを育てたクラブである。
そんなアルゼンチンの名門クラブで修行中の16歳の日本人選手をご紹介したい。
———プロフィール————
名前:鷲野晴貴(ワシノ ハルキ)
生年月日:2001年2月11日
172cm/62kg
ポジション:MF
プレースタイル:パサー、左利き
ニューウェルス・オールドボーイズ7軍所属
留学期間:2017年1月14日~
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今回、鷲野選手がアルゼンチンから帰国したタイミングでインタビューする機会を得ました。
まだ幼さの残るその表情からは想像できないメンタリティを持つ16歳、そんな鷲野選手の秘密を紐解いていきたい。
右が鷲野選手、真ん中がアルゼンチンサッカー留学エージェントの四方さん
父親にやらされてサッカーが嫌いだった
ーアルゼンチンに行く前はどんな環境でプレーしていたんでしょうか
父親が千葉の名門、市立船橋のサッカー部出身で高校サッカー選手権にも出場するほどの選手でした。小さい頃からそんなサッカーに熱い親父にやらされてきたので、サッカーが嫌いになった時期がありました。
サッカーに対して情熱的な親父についていけないというか、強制的にやらされてしまうことが多くてプレーするのが嫌になってしまいました。
でも、今では親父は良き理解者で最高のサポートをしてくれます。
ーなるほど、父親との関係が良くなったきっかけはあったんでしょうか
中学でサッカーが好きになってから親父との関係が良くなりました。
サッカーが嫌いになった理由を親父がわかってくれたのが一番で、それからは自分の意志を尊重してくれるようになりました。
そこから自分自身も大きく成長したと思います。
高校に行かずにアルゼンチンに行くことを選んだ
ーアルゼンチンにサッカー留学しようと思ったきっかけを教えてください
単純にプロになりたいからです。日本でサッカーしててもダメだなと。
そう思ったので、高校に行かずにアルゼンチンでプロになるために留学することを選びました。理由は逃げ道を作らないためです。
本気でプロになろうと思ったら日本の高校に行くより、アルゼンチンで揉まれた方が良いと思いました。
ーアルゼンチンで感じたことを教えてください
アルゼンチンで感じたことは、当たり前のことを当たり前にできるレベルの高いサッカーですね。「止める、蹴る技術」、「一対一でやり切るから負けない」など、日本の同年代とは本当にメンタリティが違います。
みんなサッカーでプロになるために本気です。
アルゼンチンの指導者は、次に繋がるヒントを見つけて取り組み続けるのが当たり前なんです。日本ではそんな指導を受けたことはなかったですね。
あと、ニューウェルスでは火水金でバルサ、バイエルンなどの試合のビデオを見てしっかり再現するトレーニングをします。日本はビデオを見て終わり。日本サッカーはどうやったら強くなるのか、誰かに教わろうというマインドを変えないといけないと思います。
日本とアルゼンチンでは「巧さ」の概念が違う
日本の「巧い」、とアルゼンチンの「巧い」は全然違います。
日本ではボールコントロール、テクニックが評価されますが、アルゼンチンではゴールに近いプレーを評価します。どんなにドリブルが上手くてもゴールに繋がらなければ意味がないし、練習でいくら上手くても試合で結果を出せなかったら使われないということです。
サッカーを習い事で始める日本と、サッカー選手にならないと生活ができないアルゼンチン
その差が大きいと思います。負けて罰走の意味がわからないです。それで勝てるようになると本気で考えてるんですかね?
この言葉がとても印象に残っていたのでTwitterでつぶやいたところ、すごい反響がありました。
試合に負けて罰走して、サッカーが改善されると本気で思ってる大人がいなくならないと日本サッカーは強くならないと思います。って16歳のアルゼンチンでプレーする若者が言ってました。
— KEI 挑戦の2018 (@Keivivito) 2017年11月28日
ーなぜアルゼンチンは優秀なサッカー選手が多いんだろう?
見てるからだと思います。サッカーをしっかりと見てるからだと思います。
みんな、自分が一番上手いと思う選手をしっかりと見て、自分で学ぶことを繰り返しています。
あとは指導者と選手の関係性だと思います。
日本の指導者は、できなくてあたり前なのに待てない。親もコーチに好かれたい。コーチと子供の関係が対等だからアルゼンチンは強いんだと思います。
ーサッカー以外の部分で感じたことはありますか
サッカー以外は一日中騒いでますね。みんな楽しいことが好きです。
みんな我がすごく強くて、僕はそこが逆に心地よいです。
あと、人とコミュニケーションをとる場面が日本と比べると圧倒的に多いですね。
ー今後の目標を教えてください
プロになることです。日本でも海外でも良い。プロとして活躍することが当面の目標です。そのために自ら一流に触れる機会を作って能力を高める環境を作ることが大事だと思ってます。
ー日本の同年代に伝えたいこと
自由にやりたいことをやって良いということですね。
本当にプロになりたければ、本気でやれば良いと思うし、だからこそ僕はアルゼンチンに行きました。
アルゼンチンで感じたことですが、等身大の自分を出すことを躊躇う人が日本には多いと感じます。もっと等身大の自分をぶつけて良いということを感じました。
今回のインタビュー取材はアルゼンチンサッカー留学エージェントをやられている四方さんにご紹介していただいて実現しました。
最後に四方さんのお話も伺いましたので、ご紹介させていただきます。
四方さんがエージェント立ち上げたきっかけ
僕は高校サッカーで断念しましたが、その部活動という制度に辟易しました。
サッカーが嫌いになってやめてしまう子がとても多い現状があります。そんな子たちにチャンスを与えたい。海外にチャレンジすることによって世界観が変わります。人生を豊かにするきっかけを与えてくれます。サッカー選手になれなくてもサッカーを好きでいてほしいと願っています。育成年代でも海外に触れさせることよって多くの経験をすることができます。サッカーだけではなく人生にとってもとても意義のあることです。
アルゼンチンでは力の差が明らかでも、決してあきらめない。
そのメンタリティを知ってほしい。自分の100パーセントを出す術を知ってほしいと思います。
「日本では歩行者優先。アルゼンチンでは車優先。それでも死亡事故は少ない状況判断能力がなければ生きていけないようになっている。その文化はサッカーにもプラスに働いている。日本は人間をダメにする設計になっているのではないかと思うことがあります」
— KEI 挑戦の2018 (@Keivivito) 2018年1月7日
四方さんの言葉
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サッカーの本質を追求する旅はつづく…