
子どものサッカーに携わっていると、時々、ふと立ち止まりたくなる瞬間があります。
「あれ? なんでこの子たちはサッカーをしてるんだっけ?」
もちろん、うまくなりたい。勝ちたい。目立ちたい。
その気持ちは、まったく否定しません。むしろ大切にしたいです。
でも、サッカーって、本当にそれだけなんでしょうか。
子どものサッカー大会に行くと、子どものサッカーというより大人が勝たたい気持ちで運営されているサッカーチームと出会います。
技術を磨き、戦術を教え、チームを勝たせるためだけに練習をするようなチーム。
そんなチームを見る度に違和感を覚えていました。
勝つことばかりを求められる中で、プレッシャーで笑えなくなる子がいた。
ミスを責められて、仲間を信じられなくなる子もいた。
怒られることを恐れて、消極的なプレーをするようになる子もいた。
技術や戦術は確かに大事。
だけど、それと引き換えに「笑顔」や「優しさ」、そして「挑戦する気持ち」を失ってしまうような指導って、本当に正しいのだろうか?
そんな時、僕自身の原点を思い出します。
若い頃、バックパック一つで海外を一人旅したことがあります。
言葉もろくに通じない国で、緊張と不安の中で旅をしていたときのこと。
広場でサッカーボールを蹴っていた地元の子どもたちが、笑顔で僕を誘ってくれました。
言葉はいらなかった。ただ一緒にボールを蹴るだけで、すぐに仲間になれた。
名前もよく聞き取れないまま、でも笑って、走って、ハイタッチして。
そのとき僕は、心から「サッカーってすごいな」と思ったんです。
日本に帰ってからも、知らない人と公園でボールを蹴って、自然と会話が生まれた。
サッカーには、言葉を超えて「人と人をつなぐ力」がある。
サッカーは、技術や戦術の前に、コミュニケーションなんです。
子どもたちにも、そんなサッカーをしてほしい。
うまくなるのもいい。勝つのも素晴らしい。
でも、それだけじゃない。
仲間と喜び合えること。悔しさを分かち合えること。
勇気を出して挑戦して、失敗しても笑い合えること。
そういう“人としての土台”を、サッカーを通じて育んでいけたら、きっとサッカーは一生ものの「道具」になる。
そしてその「道具」を、将来、仕事や人間関係や家族との関わりの中で、そっと使えるようになる。
だからこそ僕は子どもたちにサッカーを伝えたい。
サッカーを通して、子どもたちが「人との関わり」を大切にできるようになってくれたら、それが、僕にとってのいちばんの“勝利”だと思うのです。