「ボランティアで子どものサッカーを指導してくださっているコーチたち、本当に感謝しかありません。休日も自分やご家族の時間もあるはずなのに、他人の子どもたちの成長を支援してくれているってすごいことだと思います。サッカーが好き、子どもが好きっていうだけでも本当にリスペクトしないといけないと思う」
某SNSでこのようなコメントがありました。
サッカー少年団やクラブチームを支える存在として、ボランティアコーチの存在は欠かせません。特に地方や小さなクラブでは、「好きだから」「子どもたちが楽しんでくれるから」という想いだけで時間を割いてくださる方々が多い。だけど、彼らが背負う重みは想像以上。熱量はあるけれど、正式なコーチングの研修やサッカーの本質を学ぶ機会もほとんどないまま、限られた時間とリソースで指導を続けている。
そんな中でも、社会の変化によるハラスメントリスクや親からの要求も増えてきている。
ボランティアなのに学ばないといけないことがたくさんある。負担も増え続けている。これが現状です。
ボランティアコーチのリアル
試合や遠征があれば、一日が丸ごとつぶれてしまう。それでいて、子どもたちの結果は求められるし、保護者の期待も背負う。家庭では「週末ぐらい一緒に過ごしてほしい」と言われながらも、子どもたちが上手くなる瞬間を見届けたい思いでグラウンドに立っている。
さらに、コーチングの専門知識や経験が浅い中で「どう伝えればうまくなるのか」「怒るのと叱るのはどう違うのか」「子どもたちにもっとサッカーの楽しさを感じてもらいたい」という試行錯誤を繰り返す必要がある。指導方法は基本独学になり、時には理想と現実の差に苦しむこともある。子どもの目の輝きを失わせるような指導になっていないか、悩みながらも向き合っている。そんな指導者の方もいらっしゃいます。
クラブ運営者の苦悩
クラブ運営もまた、大変さの塊です。練習場所の確保、選手登録の手続き、試合の手配や備品調達、遠征費や活動費の管理。そして、保護者への連絡や要望への対応。これらを限られたスタッフやボランティアだけで回しているのが現状だと思います。
しかも、クラブの規模が大きくなるほど、求められる品質や責任は重くなる。一方で、ボランティアコーチに渡る報酬はほとんどない。お礼や交通費の補助程度だったり、時には何もなかったり。家族のサポートや理解がなければ、基本的にはコーチ自身も続けられません。
“憧れる仕事”としてのコーチ像
「プロサッカー選手ってカッコいい!」と思う気持ちと同じように、身近なコーチもカッコよく見える存在にしてあげたい。
でも、今のままでは「時間を犠牲にしているんだから、結果を出してよ」「ちゃんと指導して」「それはハラスメントでは」と突きつけられる一方、十分な対価もなく、指導法を学ぶチャンスさえも得られない。このギャップこそが、ボランティアコーチを疲弊させる原因になりがち。結果、指導現場でのすれ違いが生まれ、子どもたちが一番の被害者になりかねない。
そんな現実を子どもを預ける親御さんは理解しておく必要があります。
もちろん至らないこともたくさんある中で、納得できなければチームを変えても良いと思います。でもリスペクトは忘れないで。
保護者にできること
ボランティアコーチたちは、好きでやっているとはいえ、保護者の理解がなければ、週末の家庭事情とコーチとしての責任の板挟みで心が折れてしまうこともあると思います。
だからこそ、保護者には“リスペクト”をもって接してほしい。金銭面のサポートが難しくても、せめて「子どもが楽しくサッカーを続けられるのはコーチのおかげです。ありがとうございます」という感謝の気持ちを形にするだけでも、大きな支えになるはずです。
サッカーの未来のために
競技志向であれ、楽しむ目的であれ、サッカーを通じて子どもたちが学ぶことは多い。その機会を創り出しているのがボランティアコーチやクラブ運営者です。
プロサッカー選手が輝く裏側には、必ずこうした“縁の下の力持ち”がいる。コーチたちが憧れの職業として見られ、適切に評価される文化を育てることは、長期的に見ればサッカー界全体のためになるはず。なぜなら、そこから育った子どもたちが、また次の世代に“サッカーの楽しさ”を伝えてくれるからです。
ボランティアコーチに対するリスペクトとサポートを忘れずに。彼らは私たちの子どもたちの夢を支えてくれる仲間であり、サッカーの未来を作る大切な存在なのです。
「サッカーピラミッドの底辺から」より👇️
「日本全国に俺みたいなのがいて、サッカー好きのおじさんがいて、その人たちが試行錯誤してそれが日本のサッカーを支えてきたと少しは自負している。なんだか人生の中心にサッカーがあったよなあ。なんで、『サッカーマガジン』を創刊号から読み始めたのか。なんでだろうね。でも、サッカーが一番楽しい。サッカーっていいよね、というしか言いようがないよね。」