「子どものサッカーで起こった嬉しいこと・悲しいこと」というアンケートにご回答いただいた方からのメッセージをご紹介させていただきます。
「いつもあいつは痛がってどうせ嘘だろ...」のエピソードを投稿した者です。
あの時はショックで辛く、何が正しいのか、私が子どもに甘いのか、耐えるしか無いのか判断もできない状況でした。結論ですが、ちょうど学年末の切り替えでもあり、本人もコロナ禍もあり意欲低下が見られたので継続せず退会する事にしました。
JFAの窓口の件も考えたのですが、このチームは変わらない。
勝利至上主義のチームの裏は、息子の様にオーバーユースで病院通いのレギュラーの子達と、試合で使って貰えない子の集まりなのだ、と私も見切りをつけたと言うのが正直な所です。最近問題になった柔道の全国大会廃止の問題ですが、勝利至上主義になる問題はサッカーでも一緒だと思いました。
痛みは我慢が当たり前という指導者の方が1人でも減る事を願うばかりです。
ジュニア世代で怪我をしながらも無理にプレーを強いるなんてことはあってはならないと思います。
勝利至上主義の大人の勝手な都合が育成年代のあらゆるところにあります。
これを変えていくために、いくらこのような発信をしても全体感は大きく変わりませんでした。
日本のスポーツを構造的に変えていく動きが、どうしても必要でした。
そんな中、スポーツ庁の室伏広治長官の話はとても意義のあるものだと思います。
子どもの頃は一つの種目に偏るよりは、いろいろなスポーツを体験していただきたい。そのなかで、将来は本当に好きなスポーツをやればいいと思う。強制ではなく、健全で楽しめるスポーツ。生涯スポーツとしての取り組みが重要になってくる
全国大会廃止と勝利至上主義は別の問題だと主張する人が、一定いらっしゃいます。指導者や保護者が熱くなりすぎないように大人を指導すればいいという主張なのですが、理想はそうだと思います。大人が子どもに強いず、徹底してサポートに回れるのであれば全国大会廃止にする必要などないと思います。
でも、それが出来ないのなら、大会を廃止するしかない。全国大会がなくなって失うものってなにがあるんでしょう。
生涯スポーツを楽しみ続ける大人が日本には少ないです。高校サッカーでも全国大会という輝かしいものがある裏で、表に出てきていない闇はたくさんあります。声を上げられない犠牲者がたくさんいるんです。
勝利至上主義を助長する構造が全国大会にあるのなら、それを制御する仕組みが作れないのなら、廃止すればいいと思います。
あるサッカー少年が味わった地獄
あるサッカー少年の父が、悲痛な思いを認めた一通の手紙がある。
その一部を抜粋させていただいた。
「私は定年退職を目前にした今、ほとんど遺書のつもりで、この手紙を書いています。過ぎたこととして、もうお忘れの方々も多いでしょう。しかし、次男のAは、まだ苦しんでいます。こちらの病院では“もうこの段階では手術は無意味。筋トレ等によるリハビリで歪みを是正していくことを勧める”とおっしゃいます。しかし、本人は通院するにも、車の後部座席に寝かせて移送しなければならないほど深刻な症状で…
全国大会よりも大事なのが、生涯スポーツを楽しめる構造だと思います。日本は部活が終わり大人になるとスポーツをする機会が減ります。どんどんスポーツを楽しむ人が減ってしまいます。
日本の競技者人口比率は3.8%。人口1億2600万人に対して、480万人ほどが日常的にサッカーをプレーしている計算になります。
「日本は人口が1億人を超えています。サッカー強国では、ブラジルの2億人に次ぐ規模です。しかし競技者人口比率が3.8%と少ない。上位の国の顔ぶれを見る限り、競技者人口比率が6%を超えて初めて、その国のナンバーワンスポーツ、誰もが身近にそのスポーツを楽しんでいると言える環境になります
部活で頑張りすぎて完全燃焼、もうこれ以上やりたくないという人の声をたくさん聞いてきました。スポーツによってはプレーする機会がそもそもなくなる。あとは仕事を優先しすぎてスポーツをする余裕がなくなる。それが普通の価値観になり、スポーツを楽しむ人が希少になる。
もっと、スポーツを楽しむマインドに小さい頃から変えていく必要があると思います。大人もスポーツをより身近なものとして楽しんでいけるようにしていければいいのではないかと思います。