ある休日の話。
甥っ子たちと公園にサッカーしに行くと、一人でボールを蹴っている少年がいたので「一緒にボール蹴ろうよ」と声をかけました。すると、「下手だけど大丈夫ですか?」と返ってきました。
もちろん、上手いとか下手とか関係ないから一緒に遊ぼうよといって、長い時間一緒にミニゲームを楽しんだわけですが、ずっと頭に引っかかっているんです。
「下手だけど大丈夫ですか?」っていう言葉が。
わかるんです。下手だからみんなに迷惑かけないかな?っていう感覚。自分が楽しむことよりもみんなに迷惑がかからなかったらそれでいいっていう感覚、多分日本人なら多くの人が共感できるのではないかと思います。
上手くなきゃサッカーやっちゃいけないという刷り込み
私自身、子どもの頃、下手で馬鹿にされた経験があって、絶対上手くなってやろうと思って練習して、周りよりも少し上手くなって、上手くない子をいじっていた経験があります。
そして所属していたサッカークラブでも、下手な子は試合に出れないどころか馬鹿にされていた様子も見てきました。
そんな経験があるから、あの子の気持ちとてもよく分かります。
どんな経験をしてきたか想像がつくわけです。
別の日、近所で行われていたジュニアサッカーの試合を見ている時、結構な大差で試合に負けたチームのコーチが、子どもたちにこんなことを言っていました。
「お前ら下手だから負けたんだよ。何点取られたの?下手な奴は試合に出る資格がないことがよくわかっただろ!」と。
試合に負けた時って、こんなものですよね。僕らの時代もそうでした。何度もボロクソに言われた記憶があります。
多分、サッカーだけではなくて、あらゆるスポーツの育成年代で共通する光景なのではないでしょうか。
こういうことの積み重ねで僕らは育ってきました。普通のことです。悔しくて負けたくなくて練習する子もいれば、辞めちゃう子もいる。残った子だけ生き残る。でも、健全ではないと思うんです。
小学生の世代で、まだサッカー始めたばかりの子たちに対して、上手くなきゃダメ、下手だと恥ずかしいという刷り込みをしてしまうことはあまり良いことではないと思うんです。
上手くても下手でもサッカーは楽しめる
昔、中南米を一人旅していた時のことです。グアテマラという国でストリートサッカーに混ぜてもらったとき、本当にびっくりするぐらい下手くそな人たちが、思いっきりサッカーを楽しんでいる光景に衝撃を受けました。
日本だと馬鹿にされるレベルの大人から子どもたちが、下手なことなど微塵も気にせずサッカーを本気で楽しんでるんです。もちろん中には上手い人もいますが。普通、下手なプレーすると恥ずかしがったり、遠慮するのが私たちの文化ですが、これがまったくないわけです。
(グアテマラの友たち、下手って言ってごめん)
サッカーって本来、上手い下手関係なく楽しめるものなんですよね。下手な奴は帰れっていう人がいないだけで、サッカー文化はもう少し育まれるような気がします。
近所の子供たちとボール蹴ってて感じる、上手くなきゃサッカーやっちゃいけないみたいな空気感。でもメキシコとか中南米で、子たちとボール蹴ってた時は、下手な子がすごく楽しそうにプレーするんですよね。上手くなくてもサッカー楽しめるっていう感覚がとても大切だと思います。上手い強いより大切。
— Kei Imai (@Keivivito) 2021年6月11日
サッカーの本質を追求する旅はつづく…
- 作者:A・P・マリーニョ+笠野英弘
- 出版社:東邦出版
- 発売日: 2019年04月25日頃