大人になってから学ぶサッカーの本質とは

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指導者と保護者に求められる見極める力

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昨今、問題になる指導者の行き過ぎた指導、パワハラ問題に関して、私もこれまで何度も取り上げてきました。

しかしながら、何人かの指導者の方からは指導者の悪評ばかりを取り上げることで、指導者の風評を下げることにも繋がるのでは?という指摘をいただくことも増えました。

私は、度が過ぎた指導、選手を壊す指導者に対して、明らかにおかしなことであるという事実をまずは認識してもらう必要があると思っています。

日本には、まだその認識が不足していると思っています。情報不足、理解不足によりおかしいことをおかしいと思えなかったり、おかしいと思える人が少数であるが故に、声を上げられないという問題があると思います。

まずはそこを解消していくことが重要であると思っています。

一方で、現場で活躍する指導者が、ちょっと厳しくアプローチしただけで保護者から叩かれてしまうという問題もあるという話をきくと、難しい問題だなと考えざるを得ません。育成の現場では、時には厳しいアプローチが必要になります。子供の意思、選手の意思で強くなりたい上手くなりたいという想いにこたえる為に、厳しさは時に絶対的に必要です。そこを保護者も見極める必要があります。

なぜ厳しさが必要なのかを理解するとともに、度が過ぎた指導とはどのようなものかも理解する必要があります。

 

今回、0円Jリーガーとして活躍する安彦孝真選手のコラムが、このテーマにおいてとても興味深い内容だったのでご紹介させていただきたいと思います。

厳しい指導の線引き

アヤックスのU-19の選手たちが嘔吐(おうと)するまで走らされている姿もみた。しかし、そばにはドクターやトレーナーがいて、彼らが追い込むギリギリのラインを見極めていた。ここで大事なのは、監督やコーチ陣もそれぞれ評価される側にあるということ。厳しい指導をエビデンス(根拠)という科学をベースにしながら追い込むのか、修業という概念をベースに追い込むのか。西洋と東洋では考え方のベースも違うと感じる。

僕が考える厳しい指導のボーダーライン。それは選手全員が納得した最優先目的に対して、必要であると判断したもの。ただし、そこに人格否定や身体を意図的に傷つけることなどは一切あってはならない。だから、厳しい言葉が必要であると判断した場合は、徹底的に伝えていくことも状況においてはありなのかもしれない。ただし、指導者が選手を自分の思い通りにしようとし、私利私欲にまみれた横暴な指導は絶対にあってはならない。従って、それを監視し、チェックする人間を必ずアドバイザーとして置くことがこれからの時代には必要になるだろう。

「パワハラ=悪」という短絡的な思考ではなく、何のためにスポーツは存在し、何のために指導はあるのか。こんな時代だからこそ、恐れることなくしっかりと議論していく必要があると僕は思う。

www.nikkansports.com

 

サッカー先進国で鍛えられる育成年代の子どもたちは、厳しいトレーニングを受けていないのか?というと、全然そんなことはありません。

私も、ブラジルやアルゼンチン、スペインの育成年代の指導者にも話を聞いてきました。スペインには現地でも取材をし、ラ・リーガのトップリーグの育成指導者にも話を伺いましたが、厳しさの質・ベクトルが異なるのです。

安彦さんのアヤックスの19歳以下の選手たちのトレーニングの描写がとてもわかりやすいですが、指導者がそれぞれの選手の限界値を理解した上で、見極めることができるという点が重要な部分であると思います。

日本では、気合いや根性という、非科学的なアプローチが現在も主流になっているが故に、選手が壊れてしまう確率が非常に高いのです。

ここを一刻も早く変えていかなければならないと思います。指導者も科学的なアプローチの仕方がわからないという問題も大きいと思います。

ただ、指導者バッシングをするのではなく、しっかりと指導者が学ぶための仕組みを変えていく必要があると思います。

 

サッカーの本質を追求する旅はつづく…

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このアンケートは、子どもたちや保護者の声を幅広く集め、指導者や競技団体、メディアや専門家の方々に声に耳を傾けていただくことが目的です。子どもたちが楽しく、長く、そして安全にサッカーを楽しめる環境を私たちと一緒に拡げていきませんか? 

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