先日の日本対ガーナの試合をテレビ観戦していたら、解説の方がこんな話をしました。
「日本の選手たちにブラジル戦の印象を聞いたら、ブラジルの選手たちは常に声を掛け合ってコミュニケーションをとっていたのが印象的だったと言っていました。と
ブラジルの選手たちが試合中に常に声をかけあってコミュニケーションをとっていたのが印象的だったという話…
— Kei Imai (@Keivivito) 2022年6月10日
世界トップレベルの選手たちが、コミュニケーション、繋がりながらプレーすることを大事にしているというのは興味深い。どんなコミュニケーションをとっているんだろう。
サッカーの本質はコミュニケーションであるということは、これまでも何度も書いてきましたが、個々の力でも世界屈指のブラジルが試合中に常にコミュニケーションをとってプレーしていたというのはとても興味深いなと思います。
ブラジルは世界最高レベルのテクニックがあって、アドリブで局面を打開していく術は、日本よりも圧倒的にあるわけです。プレーの引き出しの多さを考えると、コミュニケーション量が相対的に少なくても上手くやれるのでは?と思ってしまうわけですが、彼らはめちゃくちゃコミュニケーションをとると。
それだけ、コミュニケーションを重視していて、みんなで見えない絆で繋がりながらプレーすることの重要性を理解しているということだと思うんです。
だからこそ、どんなコミュニケーションをとっているのか、とても気になります。
私は、スペイン語を学び、スペイン語圏の仲間たちとプレーするようになって気がついたことがあります。
それは、”コミュニケーション文化の違い”です。
私たち日本人と彼らのコミュニケーション文化の違い、それはなにかというと、意見を主張すること、意思表示をすること、そこに感情をのせるということ、これがデフォルトにある彼らと、私たち日本人のコミュニケーション文化はあまりにも違うということです。
お前はどう思う?どう考えてる?と常に問われます。
意見がないと彼らの文化ではコミュニケーションが成り立たちません。
私たちは、空気を読みすぎるし、あまりにも意見を主張する習慣がないということに気がつきました。
河内一馬さんの著書「競争闘争理論」にこう書かれていました。
サッカーにおいて、チーム内の各個人が持つ意見や主張、感覚をすり合わせるための「衝突」が必要不可欠。
私たち日本人は、相手を傷つけたくないから直接的に言葉で伝えなかったり、空気読みながらの暗黙のコミュニケーションが文化としてあります。
自分の意見を言った時に、それが周りと違う意見だといじられたり、仲間はずれにされたりするリスクがあります。
同調圧力というやつです。出る杭は打たれる文化があるから、そのようなコミュニケーションが根付いています。
このコミュニケーション文化は、あらゆる集団スポーツ、組織で浸透しています。
個人競技で結果を出せても、集団での競技など、複雑で深いコミュニケーションが求められる場合、結果が出ていないというエビデンスもあります。
詳しくは、「競争闘争理論」を読んでください。
恐らく私たち日本人は、人を深く理解し、分かりあうためのコミュニケーション能力が高くない。
意見をぶつけ合ってはじめて相手を知ることができるはずなのに、その意見がなかったり、思うように伝える力がなかったり、そもそも合意形成を目指すためという共通理解のもとでそういう場が作られていない可能性すらあります。
教育文化の違いも大きいです。
双方向(インタラクティブ)のコミュニケーションを育む教育ではなく、先生や大人の言うことをしっかりと聞いて、理解することが重視される教育です。つまりコミュニケーションが育まれにくい土壌に私たちは生きているわけです。
コミュニケーションがサッカーに与えている影響は大きいと思います。
だからこそ、ブラジルの選手たちがピッチでどんなコミュニケーションをとっていたのかが気になります。
そして、日本を代表する選手たちもこのことには恐らく気がついているはずです。海外でプレーする選手が多くなり、コミュニケーションがサッカーに与える影響に気がついています。だからこそ彼らはコミュニケーションを深められる可能性があります。
つまり世界のトップレベルにより近づける可能性があるということです。
私たちは日常に異文化が入ってこないために、自分達を客観的に見る・知る機会がありません。海外に住んだりして、彼らのコミュニティで生活するなどしないと体感できません。
自分達を知るためには外に出ないといけません。
外に出ないと自分達の良さはわからないんです。だからこそ、日本の外に出ることはとても重要だと思うんです。
またどこかで、もう少し深くサッカーとコミュニケーションをテーマに書こうと思います。
こちらの鬼木さんの著書も、サッカーとコミュニケーションの関係から見え方の違いという視点でわかりやすく書かれていますので、ぜひご一読ください。

- 作者:鬼木 祐輔
- 出版社:池田書店
- 発売日: 2021年10月21日頃