コパアメリカの決勝後、ネイマールがメッシへのメッセージがとても良かったですね。
「負けるのは辛い、辛いさ……。それはまだ自分が、受け入れて生きることができないものだ。昨日の敗戦直後、僕は彼にこれ以上ないハグをした。僕がそのプレーを焼き付けている史上最高の選手に。僕の友人であり、兄弟のメッシに。悲しかったけど、彼には『ちくしょう、俺に勝ちやがった』って言ったんだ」
「負けたことは、とても悔しい。でも彼はすごいんだって! 僕は彼のことを心から尊敬している。フットボールのため、何よりも僕のためにしたことに。負けるのは嫌いだ。でも兄弟、君はこのタイトルを噛み締めてくれ。フットボールは、君がこの瞬間を迎えることを待っていたんだ」
ネイマール、代表初優勝のメッシに感動のメッセージ「負けるのは嫌いだ。でもフットボールはこの瞬間を待っていた」 | Goal.com
ブラジルという国は、サッカーが強くて、陽気で、感情表現豊かな人が多い印象があります。
サッカーが上手くて個性的な選手が次々と生まれる理由はなんでしょう。
藤坂ガルシア千鶴さんと大野美夏さんの共著「彼らのルーツ」にとても興味深いことが書いてあったので一部ご紹介させてください。
「ブラジルは、なぜこれほど人材が豊富なのか?」
この誰もが思う疑問を探ろうと、数々の名門クラブの下部組織で育成部門を取材し、ひとつの結論に達した。
そこには、「ブラジル・メソッド」と呼ばれる国家プロジェクトがあった。
どれほどの名門でも、またクラブの哲学や方針があろうとも、練習メニューの決定は現場の監督に任されている。当然、監督によって特徴は異なるが、共通していえるのは、選手の自主性を重んじるということ。自らが理想とするシステムに選手を当てはめるのではなく、選手の個性を伸ばす練習を重ね、そのうえに戦術が決まる。形ありきではなく、人ありきなのだ。
ーーー中略ーーー
監督がすべきは、選手のインスピレーションがわく環境をいかに整えるかということだ。監督たちは口を揃えていう。
「クラッキ(=素晴らしい選手)は育てるものじゃない。神様がすでに天性の才能を与えてくださっているのだから…
この話の続きは書籍を読んでいただければと思いますが、 南米のトッププレーヤーたちがいかにして育まれたか、とても詳しく丁寧に取材されていて本当に面白いエピソード満載です。
ブラジルに個性的で良い選手が生まれる理由がなんとなくわかる気がしました。
ルールや規則に忠実な日本社会はブラジルとは対照的な環境です。学校でも、サッカークラブでも、多くの場合、教え込まされてしまいます。
尖った個性がわりと早い段階で丸くなっていく…、そんな光景をたくさんみてきました。
もちろん、日本が安全な理由は、そんな教育の土台があるからかもしれません。ブラジルは日本と比べると圧倒的に治安が悪く、ルールも曖昧です。
でも、あの魅力はなんなんでしょうか。お互いに無い物ねだりになってしまいますが、どうにか補完し合えないものかと考えてしまいます。
少なくとも、このエピソードは選手を育てるためのヒントにはなるのではないかと思います。
サッカーを教えなきゃいけないという考えに縛られた指導よりも、サッカーの楽しみ方を、サッカーの魅力を伝えられる指導が求められていると思います。
サッカーはやらされた瞬間につまらなくなります。
いや、サッカーだけではなく、なんでもそうかもしれません。
我々がまず大切にすべきなのは、好奇心の芽を育み、主体的に生きることができるように寄り添うことだと思うんです。
ブラジルはきっとそういう感覚の人が多いような気がします。