子どもの心のコーチングという本がとてもとても面白いのでご紹介させていただきます。
このテーマの本はこれまで数多く読んできましたが、これほどまでにわかりやすく、親の助けになる本はみたことがありません。子どもが生まれ、親になり、子どもの成長とともに直面する様々な問題、そして悩みを解消してくれるだけでなく、そもそも教育の本質とは何かを考えさせてくれる内容になっています。親はよきコーチである必要があると著者である菅原さんは言います。
私が子どもたちのサッカーコーチをしながら感じていた違和感がクリアになるとともに、これまでたくさん聞いてきたママさんパパさんたちの悩みに応えられる一冊だと思います。
この本は親だけでなく、子どもに携わる大人(コーチ・指導者・先生)にも猛烈におすすめしたいです。
子どもたちを育む為には、子どもの心を知り、どのようなアプローチが最善なのかを学び、親の悩みを知り、どのように寄り添うべきかを知る必要があると思います。
本書の一部を抜粋してご紹介させていただきます。
子どもの支配をいつやめるのか
子どもにできることが増えるにつれて、親の保護は「支配」へと姿を変えていきます。 できることが増えることは、危険が増えることを意味します。親は、大切な愛する子どもを危険から守るために、子どもに規制を加え支配しようとするのです。危険なものに触れないように、親は「ダメ」を連発するようになります。指示や命令、禁止語が日々増えていきます。
ーー中略ーー
突然走りだす子どもを制止するために手をつなぎ、ベビーカーにしばりつけて出かけます。子どもの安全を守るためには当然のことです。
この保護と支配の時期は、このあとに続く子どもの自主性の開発と自立をうながすうえで、とても重要な意味のあるときです。それなのに、保護と支配が習い性になってしまった親は、過剰に反応するようになり、子どもの自由で自然な発達をさまたげます。
私たち親はいつまでも、子どもを「できない子」として扱うことが多い。
ーー中略ーー
子どもの成長はめざましく、まもなく保護も支配も必要のない時期がきます。しかし、その成長に気づかない親は、それまでの延長で、変わらず子どもの保護と支配を続けます。
それは「かわいい子どもを守りたい」「きちんとしつけ、いい子に育てたい」、そして「自分もいい親でありたい」という、ごく当たり前の願望のあらわれです。
ところが、実際はそれが子どもの自由を奪い、自ら伸びようとする芽を摘んでしまうのです。子どもの「できる」を認めず、「できない」ままの存在として保護し続けることで、子どもの自立をさまたげてしまいます。
子どもの成長を見極めて、チャレンジさせて、見守る力が大切
サッカーの指導を始めたばかりの頃、子どもたちと親御さんたちを見ていて、なぜ信じて任せてあげないのか、先回りしてやってしまうのだろうか、やらせて失敗させないと成長しないのに…、と思っていました。
しかし、自分の子供が生まれ、育児をしていると、最初は子どもの命を守る為に、かなり本気で厳しい制御が必要なんです。
「周り見て動かないとぶつかっちゃうから注意して」と言っても伝わりません。
最初は手を繋いでお出かけすることすら困難でした。
そんな時期がしばらく続きます。当然、子どもの命を守る為にあらゆる制限が必要です。
でも、子どもの成長は早いもので、いきなりできることが増えてきます。
親になって難しいと思うのは、「命第一優先フェーズ」から「失敗させても大丈夫フェーズ」への移行期だと思います。
これは子どもを指導するコーチや先生などにも言えることだと思いますが、いつ、どのタイミングでやらせてみるか、それを見守るかという見極めはとてもとても大切で難しいと思います。複数の子どもを見なければならないコーチはそれはそれは大変です。子どもによって成長フェーズが異なるからです。
外から見たら、コーチの子どもたちに対するアプローチが一人ひとり異なるから、親の不信感に繋がりかねません。ですから親も当然理解が必要になります。
先回りして教えず、辛抱強く待つこと
できない子どもに対して、先回りして教えてしまう大人は少なくありません。手取り足取り教えることは時には成長を妨げます。
例えば、靴紐の結ぶこと、着替えること、大人が助ければ一瞬ですが、子どもは膨大な時間がかかります。これができるようになるまで辛抱強く待つことです。結び方を間違えても、裏返しに着ても、辛抱強くできるまで待たないと、子ども自身の力でできるようになりません。
これは、あらゆることに言えます。勉強もサッカーも、大人は子どもが失敗する機会を取り上げてしまいがちです。チャレンジして失敗することなしに人間は成長しないという事実を知っているにもかかわらずです。
この本は、大切なことがたくさん書かれています。Kindleで読んでいますが、ブックマークとメモ・ハイライトだらけです。それだけ大切なことがたくさんです。
ぜひ、読んでみてください。