Part4となる今回は
バルサキャンプの4日目で行われた練習や、そこでのコーチの発言、僕が感じたスペインと日本のサッカー間の違いをまとめたものを書いていきたい。
Part3はこちら↓
バルサキャンプの4日目ではFinalización(フィニシュ)のトレーニングとなる。
1日目のCreacion de espacio, ocupación de espacio(スペースを作ること、そのスペースを使うこと)から始まり、4日目のFinalización(フィニシュ)で終了する。
子供達は、この4日間でゲームに必要な力を順序立ててトレーニングを行うのだ。
最初のトレーニング
ルールはすごくシンプル。
まず、2つのチームに分けてゲームが始まるのだが、ルールが面白い。
選手はコートに散らばり、キーパーはなしなのだが、自分達が守っているコートでは、そのチームの全員がキーパーとなり、どこでも手を使って相手のシュートを防ぐことができる。しかしキャッチは禁止でボールを弾くことしかできない。
両チームとも相手コートに自由に侵入できるが、手を使って相手のシュートを防げるのは自分たちのコートのみとなる。
シュートはどこからでも打てるが、相手コートで放ったシュートが決まれば1点となり、自分たちのコートからロングシュートが入れば2点となる。
始めから、Finalización(フィニシュ)をかなり意識させたトレーニングメニューとなる。
自陣からシュートを決めたら2点入るにも関わらず、パスをつなぎゴール前までボールを運ぼうとする選手達。
過程にこだわりすぎている選手達は点が入るのに時間がかかる。
Finalización(フィニシュ)がテーマにも関わらず綺麗に繋ごうとして後方でボールを奪われるシーンもちらほら。
そこでバルサコーチが一言
「どうやったら勝てるかな?」
子供達
「ゴールをたくさん取ったら!」
バルサコーチ
「じゃあどうやったら2点取れるかな?」
子供達
「ロングシュート!」
バルサコーチ
「そうだよね! 1点取るために頑張ってボール繋ぐのと、シュートコースが空いてる時にロングシュート撃って、それが入ったら2点になるのとどっちが勝ちやすい?」
子供達
「ロングシュート!」
バルサコーチ
「どうやったら簡単に勝てるのか常に考えながらプレーしてみよう。 難しくプレーする必要ないよ! 難しくプレーした方が勝つスポーツじゃないよ! ゴール取れそうなら早く取ろうよ!」
ここで僕が確信したことがある。
僕たち日本人と、彼ら(スペイン人)では見えている世界と景色が全く異なるということ。
全員に当てはまる話ではないが、おそらく日本人は、難しいプレーをすることだったり、複雑な物事達成の過程に価値を感じてしまい、その過程を行うこと(頑張ること)に価値を見出す傾向があると思う。
それに対してスペイン人は、勝つこと、ゲームの目的達成を最重要とする。
だから、簡単に目的を達成する道が見えたら、迷わずに物事を達成する。そして、その達成と言う結果に喜びを感じる人が多い。
しかし、バルサは美しいフットボールを追求しているのでは?と言う声が上がると思うので、僕が感じたことを僕なりにまとめる。
バルサは美しさを追求しているのではなく、美しく勝つことを追求している。世界で技術的に優れる選手を獲得し、彼らをフィールドに並べて最も勝てる可能性が高い手段がボールを持つことなのだと僕は考えている。
フットボールはボールを上手く扱ってゴールに攻めるスポーツで、技術のある選手を集め、相手にボールを奪われなければ勝つ可能性は格段に高まるのだと。
彼らにとって、1番楽に勝てる手段がボールを持ってゲームを進めることなのだと思う。
そこを僕たちが誤って解釈し、表面的なボール回しや、ボール扱いの練習を真似してしまったことによって失われてしまったことは多い。
フットボールではゴールをより多く奪ったチームが勝つのだ。
「ルールを有効活用しながら、最小限の労力で最高の結果を出そうとする姿勢。」
が僕たち日本人には必要な気がしている。
ルールはすごくシンプル。
まず、選手を2つのチームに分けて、ゲームが始まるのだが、ルールが面白い。
選手はコートに散らばり、キーパーはなしなのだが、自分達が守っているゴールのあるコートでは、そのチームの全員がキーパーとなり、どこでも手を使って相手のシュートを防ぐことができる。しかしキャチは禁止でボールを弾くのみがOK。
両チームとも相手コートに自由に侵入できるが、手を使って相手のシュートを防げるのは自分たちのコートのみとなる。
シュートはどこからでも打てるが、相手コートで打ったボールが入れば1点となり、自分たちのコートからロングシュートが入れば2点となる。
始めから、Finalización(フィニシュ)をかなり意識させたトレーニングメニューとなる。
自陣からシュートを決めたら2点入るにも関わらず、パスをつなぎゴール前までボールを運ぼうとする選手達。
過程にこだわりすぎている選手達は点が入るのに時間がかかる。
Finalización(フィニシュ)がテーマにも関わらず綺麗に繋ごうとして後方でボールを奪われるシーンもちらほら。
そこでバルサコーチが一言
「どうやったら勝てるかな?」
子供達
「ゴールをたくさんとったら!」
バルサコーチ
「じゃあどうやったら2点取れるかな?」
子供達
「ロングシュート!」
バルサコーチ
「そうだよね。1点取るために頑張ってボール繋ぐのと、シュートコースが空いてる時にロングシュート撃って、それが入ったら2点になるのとどっちが勝ちやすい?」
子供達
「ロングシュート!」
バルサコーチ
「そうだよね! どうやったら簡単に勝てるのかって常に考えながらプレーしてみてごらん? 難しくプレーする必要ないよ! 難しくプレーした方が勝つスポーツじゃないよ! ゴール取れそうなら早く取ろうよ!」
ここで僕が確信したことがある。
僕たち日本人と、彼ら(スペイン人)で見えている世界と景色が全く異なるということ。
全員に当てはまる話ではないが、おそらく日本人は、難しいプレーをすることだったり、複雑な物事達成の過程に価値を感じていて、その過程を行うこと(頑張ること)を喜びとする傾向があると思う。
反対にスペイン人は、勝つこと、"ゲームの目的達成"を最重要にする。
だから、簡単にその目的を達成する道が見えたら迷わない。そして、その達成という結果に喜びを感じる人が多い。
しかし、バルサは美しいフットボールを追求しているのでは?と言う声が上がると思うので、僕が感じたことをまとめてみる。
バルサは美しさを追求しているのではなく、美しく勝つことを追求していて、世界で技術的に優れる選手を獲得し、彼らをフィールドに並べて最も勝てる可能性が高い手段がボールを持つこと。なのだと僕は考えている。
ボールを扱ってゴールに攻めるスポーツで、技術のある選手を集め、相手にボールを奪われなければ勝つ可能性は格段に高まる。
彼らにとって、1番楽に勝てる手段がボールを持ってゲームを進めることなのだと思う。
そこを僕たちが誤って解釈し、表面的なボール回しや、ボール扱いの練習を真似したことによって技術は高まったものの、そもそもフットボールとはどういうものだったのかを忘れてしまっているのかもしれない。
フットボールはゴールをより多く奪ったチームが勝つのだ。
「ルールを有効活用しながら、最小限の労力で最高の結果を出そうとする姿勢」
が僕たち日本人には必要な気がしている。
そして次のトレーニング
2チームに分けるのは一緒だが、今度は全員が一緒にピッチに入らない。
両チームの選手はそれぞれ分かれて別のゴールの脇に並ぶ。
始め方は片方のチームが1人ボールとともに出てきてシュート。
そして次は逆のチームからボールとともに1人出てきて1対1。
ボールが外に出たら、始めにシュートを打ったチームからまた1人ボールと共に出てきて2対1。
そして、またボールが外に出たら、逆のチームから1人ボールとともに出てきて2対2という切り替えとインテンシティの高いトレーニングとなっている。
先ほどの練習でゴールを強く意識した選手達の優先順位はゴールにしっかり向けられているが、難しい場面では強引に仕掛けたり、シュートせず、シンプルに味方を使えるようにもなってきた。
この4日間で確実に成長している。
フットボールを理解しているし、理解しようとしているのが目に見えてわかる。
切り替えが遅い相手チームの選手を待ってしまう選手がいたり、相手チームの選手にルールを教える選手がいた時にバルサコーチがこう言っていた。
「日本の選手ってすごく良い子だよね。でも、そこが日本がサッカーが強くない要因のような気がするな。今の場面もそう。相手が戻ってこないのはチャンスなのに相手を待ってからスタートしたでしょ? 今急いでゴールまで行ってシュート打てば1点だよ!? 勝てるチャンスがあったのに、彼らにとっては勝つことよりも相手が準備してから攻めることが重要みたいだね。相手が準備してようが、してなかろうが1点の重みは変わらないんだよ。 “どんな状況でも変わらない価値”ってすごく重みがあるんだ。 相手の都合、ましてや敵の都合でその価値を取ることを放棄したら勝てないよ。」
“正々堂々と勝負をする“という考えが勝ちにいくという行為に多少ならずとも歯止めをかけているように僕は思う。
奪えるゴールは全て奪うこと。自らゲームを難しくしないこと。
それらは僕たち日本人に大きく欠けているんじゃないか。
どちらが良いとか悪いではなく、“世界のトップを走る国々はこういう風に物事を考える”というのを僕たち日本人は知る必要があるのだと思った。
ゲーム形式のトレーニング
ルールは通常のゲームと一緒だが、得点の入り方だけ異なる。
コートを横に3分割(ゴール前、センター、ゴール前)にして、自分の守っているゴールのゾーンからゴールを奪ったら3点、両チームともセンターのゾーンからゴールを奪えば2点。攻めているゴールがあるゾーンからゴールを奪ったら1点入るというルール。
前への意識は見えるが、ゲームとなるとシュートが少なくなってしまう選手達。
バルサコーチは言う
「サッカーってどうやったら勝てるスポーツだっけ?」
子供達
「点をたくさんとったら!!」
バルサコーチ
「そうだよね? じゃあ今たくさん点を取ろう!って思ってプレーしてるかな? どうやったら3点入るんだっけ? どうやったら沢山点が入るのか、簡単に点が取れるか考えてプレーしよう!」
その後も決まって言うのは「どうやったら点が取れるかな?」とか「この4日間で何んの練習したかな?」という、目的達成の手段を自ら考えさせるような声かけと、思い出させる作業を手助けする声がけのみ。
バルサのコーチは選手にたくさん質問をする。
それだけで子供のプレーが確実に良くなっていくのだ。
4日間で技術が上手くなるのではなく、フットボールのプレーの仕方を教え、子供の能力を引き出し、プレーをよくしてしまう仕組みを持っているバルサ。
その徹底した哲学と引き出し、そして選手のマネジメントは世界のトップを走る。
Part5に続く
ライタープロフィール
佐藤 靖晟 21歳
高校卒業後イタリアに渡り1シーズン半、今年からスペインに移籍してプレー。