日本の育成年代の指導に携わるブラジル人指導者は、日本のサッカーをどのように見て、感じているのだろうか…
今回、神奈川県厚木市で活動するGrupo W5 / タベラサッカークラブの村上コーチにご協力いただき、ブラジル人コーチの二人、ダニエル難波さん、マルシオ石岡さんにお話を伺うことができました。
日本サッカーの課題がわかりやすい内容になっています。
自分で身につけたズルさと、教わって身につけたズルさは違う
今井:日本の子どもたちにサッカーを教えていてどう感じますか?
マルシオ:日本とブラジルは育成のシステムが違いますね。ブラジルはフットサルからはじめるけど、日本はサッカーからはじめます。この違いは大きいです。フットサルはボールにたくさん触れるし、相手も近いから駆け引きしないといけない。だから上手くなりやすいと思います。
ダニエル:でも、日本はそんなに悪くないですよ。良いところもいっぱいあります。テクニックもある、アビリダージっていう、マリーシアとは違うけどボールを扱うことは上手いですよ。
マルシオ:そう、でも日本にはマリーシアがないですよ。日本で育った南米の子ども達もマリーシアがないんです。
今井:やっぱりそうなんですね。
ダニエル:例えば、日本の子ども達に身体で相手をブロックすることを教えると、「え?ダメでしょ?反則になるでしょ?」っていう反応になるんです。南米で育つとそういうことはないですね。
マルシオ:ブラジルは小さい頃からボールで遊ぶから、教えなくても自分で身に着けるんです。
ダニエル:うん。日本は自分で身につけたズルさではなくて、教わって身につけたズルさという感じはしますね。これは全然違います。教わって身につけたズルさは弱いです。自分の中から出るものか、そうでないかはサッカーでは大事なことです。
今井:すごくわかります。日本のジュニアの試合に行くとコーチや親たちがすごく口だすし、コーチングというより文句に近い声が響き渡ってひどいなと思うんですが、どう感じますか?
ダニエル:ブラジルもあるよ。サッカー見てる時はすごくうるさい(笑)。でも、どういう言葉を発するかは大切。日本のジュニアのコーチたちは野球の野次に近い気がしますね。南米はもっとサッカーに必要な声が出ますね。パッションすごいけど。
今井:確かに!野球っぽいかもしれません。
サッカーは教わるものではない
ダニエル:ジーコが昔ブラジルのインタビューで「どうすればゴールできるかは、教えられない。自分で考えて、自分でゴールしなきゃいけない」って言ってたんですけど、日本人は教わるのを待ってる感じはしますね。全部教えないといけないとも思うけど、 教えられないこともあるんだよなって思います。でも、良いところは、教えたことはちゃんとやるというところ、これはすごいところだと思います。
今井:サッカーは教わるものではないということですよね。
マルシオ:南米やヨーロッパの選手の一番の目的はゴール!でも日本人はシステムを一番大切にしているように見える。サッカーで一番大切なのは勝つこと。勝つために大切にしなければいけないのはシステムじゃなくてゴール。この考え方の違いは大きいと思います。時にはシステムを無視してでもゴールしなきゃいけないのがサッカーです。
今井:サッカーを教わるっていう考え方がそういう思考にさせてしまうのかもしれないですね。システムを無視するって教わるマインドじゃできませんよね…
約1時間半、お二人のブラジル人コーチに日本のサッカーについてお話を聞いた今回の企画は数回に分けてお送りします。
次回もサッカーの本質に迫る内容になりますので、楽しみにお待ちください。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…
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