フットボールカルチャー雑誌「SHUKYU Magazine 」の10号目。
サッカーと社会、サッカーと文化、芸術を広く深ぼる雑誌は他に知りません。サッカーに特化した雑誌は数あれど、ここまで本質を扱う雑誌は他にはないのではないでしょうか。
サッカーは社会の中の一部であり、文化であり、芸術であると改めて感じさせてくれる雑誌です。
今号も興味深いテーマがたくさんあるのですが、大人気ポッドキャスト番組「サッカーと英語」の主催者である竹山さんが、元日本代表監督であり、FC今治のオーナーでもある岡田武史さんにインタビューしている内容が面白かったので、一部をご紹介させていただきます。
日本には主体的にプレーできる選手があまりいません。監督の言うことをきっちりとできる選手は多く、それは一つの能力として素晴らしいことですが、言われたこと以外のことを、リスクを冒してチャレンジできる選手が少ないです。
例えば、相手チームのボールを保持している選手に力がなさそうで、味方選手のファーストディフェンダーがすごく強ければセカンドディフェンダーの選手はカバーではなく、横パスを狙ったポジションを取ってもよいはずです。それは、リスクを取った判断を自らするということです。一方で、監督からの指示は、原則として味方選手が抜かれた場合を想定して、カバーのポジションを取りなさいとなります。そうすると、日本人の選手は10人中9人がカバーのポジションに留まってしまいます。
これは国民性でもありますが、日本人には同調圧力みたいなものがあって、なかなか自分で選ぶことができません。歴史上、お上の言うことを聞いていればどうにかなるという世界で生きてきたことも関係しているかもしれません。
主体性をもてるようにするとは
続きはぜひ本誌を読んでいただきたいのですが、この後に岡田さんが話していることで面白かったのが、U17のW杯でブラジルが、フランスに2点取られて負けている試合のハーフタイムにサブのメンバーも含め全員で激論を始めたんだそうです。そこにコーチも監督もいなかったと。その光景を見て、やはり自分たちでなんとかしないと生き残れないという経験がそうさせるのだろう…。と言っているのですが、やはり日本のように指示命令でその通りやり続けるという教育文化の中でそういう力(主体性、能動性)は身につきにくいということなのかなと思いました。
最近、日本の育成年代のサッカークラブで子どもたちだけでコミュニケーションを取り、試合に臨むチームもいくつか出てきましたが、U-17世代では聞いたことがありませんでした。
子どもの頃から、自分で解決する力を育むことはとても大切なことだなと改めて思いました。
岡田さんは、そんな日本人の性質を踏まえたアプローチも模索し実践されています。続きはぜひ本誌を。
- 作者:岡田武史/志岐幸子
- 出版社:日経BPM(日本経済新聞出版本部)
- 発売日: 2008年02月