現在スペイン・バルセロナにあるサッカーチームでホペイロとして活動している、ほぺまゆ(@Jope_Mayu)です。
前回の記事<日本人ホペイロとしてスペインのサッカークラブに所属するまでのみ道のり>の続編として、スペインのユーストップリーグで1シーズンを戦って感じたことを寄稿させて頂きます。
スペインで過ごした1シーズンは、毎日刺激にあふれたものでした。
その中で感じたことを大きく3点に分けてご紹介します。
《目次》
日本とスペインのサッカーの違い
日本とスペインのサッカーの違いを1番強く感じたのは、プレースピードと感情の出し方。
わたしが日本の男子サッカー現場に携わったことがあるのは高校時代のサッカー部マネージャー経験くらいなので、スペインサッカーの現場の方が経験は濃いものになっています。そのためわたしにとってのスタンダードなサッカーといえばスペインで、スペインサッカーの方が慣れ親しんでいるような状態です。
そんな状態で今年の3月に諸事情で日本一時帰国をしました。そのときに母校の高校サッカーやJクラブの練習を見に行ったとき、わたしは衝撃を受けました。
ひさしぶりに生で見た日本のサッカー。一言でいって、静か。。
①プレースピード
日本の練習を見ていてもあまりワクワクしないんです。
例えばロンドをしているとき、1人ひとりのボールを持っている時間が少し長かったり、ボールが出てしまっても次のプレー開始がキビキビとしていない。予備のボールの流動が少ないんです。
しかしスペインサッカーの練習はもう本当に速い。
ロンドとなると必ず2タッチ制限などが課されるので、自動的に流れるようなパス回しになります。またロンドの大きさもコンパクトなので、1人がだらだらと持っていようものならディフェンスにさっと取られてしまいます。
わたしがスペインで練習に帯同しているとき、ロンドとなると休む暇はありません。
ボールが少しでも出た瞬間、すぐにコーチから新しいボールが供給されます。スピード感やリズムを非常に大事にしているんですね。そのため予備のボールはどんどん減っていきますから、ボールを切らさないよう拾っては供給する繰り返し。必死です。
②感情の出し方
日本のサッカーの練習を見ていてびっくりしたのが、練習中に怒る人が少ない。そして失敗したときに悔しがる人が少ない。
仲間がシュートを打たなかったときやパスをしなかったとき、「シュート打てよ!」「なぜここにパスをしないんだ!」などと言う人は見かけませんでした。自分が何かミスをしたときも悔しさを全面に出す人はいませんでした。正直とてもお利口さんなチームだなという印象。
なぜここに着目するかというと、スペインでは感情を出して思ったことをはっきりするのが当たり前な部分があります。
もちろんそれぞれの性格もありますが、プレー中だろうが思ったことは口に出しますし、外野からの声も出ます。もうほんとうるさいなっていうくらい。
海外では我を出していかないとやっていけない、なんて話も聞きますが、こういう場面を目にすると納得できます。言わなかったことは、思ってなかったことと一緒なんですね。
※いずれも個人的な感想なので、予めご了承ください
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よく聞かされた「これがサッカーの世界だ」という言葉
スペインでは小さな子から大人まで毎年1シーズンを戦いぬくわけですが、特にトップリーグとなるとシーズン間での選手の入れ替わりが激しいことも多々あります。
プレーや練習への取り組みが悪いためクビを切られる選手もいれば、出場機会が少ないからと自ら去っていく選手も。
突然新しい選手が練習に参加していることもあります。
そしてこの入れ替わりは選手だけでなくコーチ陣もそう。
突然監督交代なんてこともあるわけです。
わたしは当初この流れの早さについていけませんでした。
やはり自分のチームの選手たちに愛着を持つのは当たり前。
そんな選手たちが急に去っていくわけですから、練習中に涙を流してしまうこともありました。
しかしその度にコーチ陣からは「これがサッカーの世界だ」と言われるのです。
選手からも「元気出せ!」と。
こういった経験をなんども繰り返すうちに、「サッカーの世界に携わるには、ときに割り切る気持ちも必要なんだ」ということを肌で学びました。
日本人の良さを生かせば勝負できる
ホペイロとして1シーズンを戦ってわかったこと、それは「日本人でも良さを生かせば十分に勝負できる」ということ。
正直スペイン人は大ざっぱで適当な人が本当に多いんですね。
何事も勤勉に取り組む日本人とは正反対です。
だからこそ一生懸命働き、細やかな部分にまで配慮を加えるとかなり驚かれます。
そこまでしなくていいよ、と言われることも多々。
特にホペイロはサッカーの環境を整える仕事ですので、日本人の細やかさとか気配りは打ってつけです。
これは選手や指導者にも同じようなことが言えるのではないでしょうか。
選手であれば体格は外国人に負けるかもしれませんが、小柄な身体ですばやく動くことができるというのは武器になります。
指導者でも同様に、選手1人ひとりへの細かな気配りが信頼につながるかもしれませんし、チームの雰囲気に注意を払うこともできるとも言えます。
大事なのは自分の強みや武器を把握し、周りとどのような差別化を図ることができるかということです。
あなたも最初からできるはずないと諦めずに、どこで勝負できるかを考えぬくことで可能性はどんどん広がっていくかもしれません。
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