ボールは絶対に奪われてはいけないもの
私は日本と南米のサッカーの一番の違いはこの”ボールは絶対に奪われてはいけないモノ”という感覚だと感じている。ボールに対する執着心が日本人とは違う。「ボールは大切にしましょう」「ボールの上に座らないで!ボールを大切にして!」とかいう言葉を指導の現場でたまに聞くこともあるが、全然違う。ボールを奪われたら死ぬ気で取り返せ、そしてボールは死んでも奪われるな。という気持ちが南米という大地に宿っている。当たり前なのである。ボールを簡単に奪われるということはボールを持つことの喜びを知らないということだ。
Juan Román Riquelme. “El Último Diez”. Reconocido mundialmente gracias a su técnica de retención, distribución, pegada,y amague con la pelota. Con Boca ganó 3 Libertadores y una Intercontinental. Es uno de los mejores jugadores que hayan jugado en el fútbol argentino. pic.twitter.com/C6aNMbkNYp
— Futbol Retro (@FtbolRetro) November 4, 2019
ボール持ったら王様だ
ボールを持つことを怖がる人が多い日本。ボールを持ちたくてしょうがない南米。この違いはサッカーの捉え方、伝え方の違いなんだと思う。一言で言ってしまうとサッカー文化。アルゼンチンには10番にボールを集めるスタイルがある。初めて見たときは衝撃的な光景だった。リケルメ(当時ボカジュニアの10番チームの王様)はピッチを自由に動き回りチームメイト全員がリケルメにボールをこれでもかと集める。時にはディフェンスラインまで下がってボールを受け攻撃をクリエイトしていく。メッシもアルゼンチン代表でプレーするとそういう場面が多々見れる。しかし彼らは決してボールを奪われない。子供達はリケルメやメッシのそんな姿を見てボールを扱う。
球際の王になるということ
相手がどんなに近くても恐れない。何人にプレッシャーをかけられても怯まない。
こういう感覚を手に入れるには、球際の王様になることだ。相手から逃げない。相手のプレスをガシガシ受けながらもボールを奪われない強さと上手さを手に入れる必要がある。球際の強さを手に入れてこそサッカーは面白くなる。相手が近ければ近いほどにワクワクしなければ真のフットボーラーとは言えない。
Juan Roman Riquelme was something special 🥰pic.twitter.com/DVhMEmMPIQ
— Goal (@goal) October 30, 2019
ボールを大切にするということ
ボールは決して奪われてはいけない!ということを伝えたいのだけれども、大事なのは選手自身がボールを死んでも奪われたくないと思うことだ。そう思わせる手助けをするのがサッカーを伝える指導者の役目だ。ボールを持ったら超楽しいということを知らないことにはボールを大切にしたいという気持ちも生まれない。ボールを大切にするという感覚を伝えていかなければならない。サッカーはいかに自由にプレーし、いかに相手の自由を奪うかだ。相手の自由を奪うことばかり考えると自分たちの自由も表現できない。自由に表現するためにボールを大切にするという感覚を伝えたい。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…
サッカーの本質を追求する旅はつづく…