大人になってから学ぶサッカーの本質とは

日本にいながら外国人リーグでプレーする私の目から見るサッカーの本質とは… 元サッカー選手、元サッカーコーチ、中南米放浪サッカー経験者として好き勝手語らせて頂きやす

サッカー選手である僕がスイスで半年間、指導者を経験して学んだこと

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【目次】

 

スイスで得た指導の機会

僕が選手として所属しているFC Bassersdorfで、このクラブの役員を務めている人からU-16チームの監督をやらないかという話を頂きました。

理由は4つ。

・僕がドイツで指導者の経験があったため。
・現役で、同じクラブのトップチームの選手が一緒に指導する事で選手の刺激になるため。
・トップチームと育成チームの距離感を縮め、クラブ内の一体感を高めるため。
・2人の監督で指導する事で、監督への負担を軽減するため。

 

監督といっても、自分自身まだ現役でやっていることや仕事の関係上、練習や試合に帯同できない時もあり、もう1人の監督とアシスタントコーチの3人体制でチームを指導していました。
彼らが所属していたリーグは、この年代の上から2つ目のリーグ。

チームの目標は2つありました。

・トップリーグへの昇格
・将来的に活躍できるような選手の育成

「チームの結果」と「選手の成長」という典型的な育成チームの目標でした。

 

僕が実際に学んだ事

 

1 選手のプライベートを考慮する

僕が担当していたチームの選手達がサッカーをする理由は様々でした。

「プロになりたい」「チームを昇格させたい」「サッカーするのが楽しい」

などなど、選手によって描いているビジョンが様々でした。それに加え、スイスでは、16歳から職業訓練学校に通いながら、働き始める若者も多く、僕のチームにも何人もいました。

そういった選手達は、朝から働いてから夜に練習するので、心身共に疲弊している選手もいました。そういった選手に、例えば走り込みなどのトレーニングを要求しても、モチベーションが低くなります。

だから選手の事を知るように努力し、練習前、そして練習中に選手達をよく観察する事が大事で、もし負荷が高すぎるなと思ったら、練習メニューを変えていました。

2 失敗を指摘しない

僕がドイツで指導をしていた時に師匠のような存在の人がいました。彼は「失敗を指摘せず、模範を示す」という事をよく口にしていました。

例えば、練習中に誰かがミスをしたとして、そのミスを指摘するのではなく、そのミスの改善策を選手達の前で示す。もし模範を示す前に、その改善策をすでに行なっていた選手がいたら、その選手を模範にして他の選手に示すとなお良し。

このセオリーを僕のチームに対しても応用してみましたが、その時の選手達の反応は、良かったです。ちなみに、もう1人の監督は、選手がミスをする度に怒鳴るような人で、上手くいかない時間帯にチームの雰囲気が極端に悪くなっているのを感じていました。

僕はそういった時に、とにかく選手達にポジティブな声を掛けるようにしていました。プレーするのは選手達なので、それがどれくらい結果に繋がるかは、ハッキリとは言えませんが、選手達の反応を見た限りでは、効果があったと思います。僕自身、選手として理不尽に怒られるのは嫌ですし。

 

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3「教える」のではなく「提案」する

これは自分がまだ現役である事、そして選手達が自我が強い事も関係していますが、基本的には選手達に「教える」というよりは、「提案する」ように心がけていました。


選手達自身、何が正しかなどの判断は自分がするので、教えるという気持ちで接すると、僕の言いたい事が伝わりません。そもそも正解も1つじゃないですし、プレーするのは選手本人なので、判断は選手に任せるべきだと思います。

そして、練習中や試合中で何か上手くいかない時は、どこに問題(基本的に感情論は抜きで)があるのかを考えて、僕の考えた解決策を選手に提案していました。

そうすると、選手達もその提案を試してくれて、上手くいった時には、僕への信頼も高まりました。そういった微妙な考え方の違いで、コミュニケーションが変わるという事を学びました。

4 監督はチームの中で1番下の存在

「監督たるもの選手達やスタッフの上に立って、威厳を保ちながら、指揮を取る」というイメージを、僕自身抱いていました。

しかし、トップチームの選手であるものの、言葉がネイティブレベルでない事、僕のキャラクターも威厳を放つようなタイプではない事や上下関係などが日本と比べるとあまり強くない事から、上記のようなイメージで監督をする事は困難でした。

事実、ドイツのU-8の選手のコーチをしていた時も、この困難にぶち当たりました。その問題について悩んでいる時に、僕自身がプレーをしているトップチームの監督をみて、ふと気づいた事がありました。

それは、練習や試合の時などは、どの選手よりも早く来て準備をしたり、休みの日に対戦チームのスカウティングに行くなど、チームの為に尽くしていた事でした。


やはり選手達はそういう姿を見ていますし、自分自身も選手と同じようにベストを尽くしているのかなと思いました。


それから、僕はどんな練習メニューを組む時にも、週末の試合に向けての短期的な改善点、そして長期的な選手の成長のための長期的な課題や、当日の選手のコンディションなども踏まえて考え、練習前に準備を完了させたり、試合のスカウティングをしたり、選手達とこまめにコミュニケーションを取るようにしたりするなど、指導者として、できる限りの事をしました。


ちなみに語学に関しては、初期段階で選手達に「僕のドイツ語は、君たちのようにネイティブではないから、ちゃんと聞いてないと理解できない。だから、僕が話す時は集中して聞いてくれ。」


と伝えました。僕のチームの場合はこれが功を奏して僕の話を集中して聞いてくれるようになりました。
正直、取り組みは地味な事も多いですし、僕自身まだまだ未熟な部分が多いなと痛感していますが、指導者としての取り組みは、やっていて楽しさを感じていたので、将来的にはまたやりたいなと思っています。

解決できなかった課題

僕の能力では解決策が見つけられなかったのが、少し素行の悪い選手(イメージでいうとバロテッリ)とのコミュニケーションです。彼は、スイスのプロチームの下部組織でやっていた選手でしたが、人間性の部分で難しい部分が多いと判断され、チームを退団させられた選手でした。


ポテンシャル的には、かなり高い選手でしたが、練習や試合中にチームメイトやスタッフ、監督を強く非難したり、試合前に夜遊びをして悪いコンディションで試合に来るなど難しい選手でした。結果的に、もう1人の監督の判断で退団させられたしまいました。そこまで行く前に、何か出来なかったかなと悔やむことがあります。

 

チームとしては、リーグ戦2位で終わり、昇格には至りませんでしたが、5人の選手がU-21チームに飛び級で上がりました。


スイスで指導者を経験する機会に恵まれて、多くのことを学ぶことができました。

 

書き手

twitter.com

 

keikun028.hatenadiary.jp

 

 

サッカーの本質を追求する旅はつづく…