ディエゴ・シメオネの魅力に惹きつけられている。
シメオネが率いるチームが圧倒的な戦闘力を持つ理由が、彼の著書を読み進めると理解できた。
彼の発する言葉は常にエネルギーに溢れ、絶対的な説得力がある。
人の心を動かす力が秀でているのだ。
シメオネの情熱的な生き様がこの本から伝わってくる。
※この本の一部を抜粋してご紹介させて頂きたい。
コントロールできないものに時間を費やすのは無駄だ
世の中には幸運に恵まれたから手に入るものがある、という意見には賛成できない。私はあまり運を信じない。努力、確信、頑固さ、能力の方をより信じている。これらのものと一緒なら、あなたは他の人よりも運に恵まれやすいだろう。
例えば、審判がミスを犯すということは誰もが知っている。グラウンドに飛び出す者は誰も彼のジャッジがすべて的中するなんて思っていない。それは不可能なのだから。
しかし同時に、敵陣でプレーしていればそのミスによって得しやすいことも我々は知っている。逆に、自陣でのミスジャッジはチームにとって致命的になりやすい。
これは運不運の問題ではない。努力すべき問題だ。
努力すればするほど、準備とプランが整っていればいるほど、幸運はあなたにより微笑む。
準備とプランがすべてなんだとシメオネは言う。
自分がコントロールできるものには、すべてを捧げるというシメオネの情熱が選手の力を引き出すのだろう。
唯一頼りになるのは自分に対する情熱と確信
私はサッカーと人生を激しく生きている。何かをしなければならない時には、物凄いやる気が湧き上がってくる。頭がおかしくなるほどだ。血管の中を何かが駆け巡り、私は燃え上がる。頭では壁を崩せないと私に言うものがいたら、彼は間違っている。誰かが挑戦を仕掛けてくるだけで、私は直ちにそのために働き始める。
自分に課された目標に狙いを定め、1日24時間それに従事するだろう。
私にとってその瞬間から他のことは目に入らない。情熱が体の中に入り込み、腕の毛が逆立ち、自分の仕事に全身全霊を注ぐ。
他人がどう言おうが、どう思おうが関係なくなっている。唯一、頼りになるのは自分のやっていることに対する情熱と確信だ。
私は人生でいろいろな決断をし、困難な状況や問題を乗り越えてきた。そのたびに自分の決断を分析したりはしないし、周りから自分がどう見られているかを考えたりもしない。迷わず常に自分の信じる道を進むべきだし、その決断の根拠を用意しておくべきだ。私は子供の時からそんな人間だった。柔軟な頭を持ちながらも、これまでの人生を大変頑固に、自分の信じることに固執して生きてきた。自分に何かを課し、それを達成する寸前にある…、まあ絶対達成すると言ってもいいのだが。
シメオネがピッチで時折みせる過剰とも思える振る舞いは、自分のすべてをサッカーに捧げ、選手に対する深い愛情があるからなのだ。
時には相手選手にも熱く振る舞う。これは相手にもリスペクトを求めているからに他ならない。
シメオネはチームのポテンシャルを引き出す圧倒的なリーダーシップを持っている。
それこそが長年低迷を続けていたアトレティコ・マドリードが復活した理由だ。
子どもに示す人生の価値観は、サッカーより重要だ
子どもの時に教えられた価値観というのは、サッカー選手になるかどうかとは関係なく、その後の人生の指針になる。成長した後で変えたり、正しい方向へ向かわせようとするのは難しい。だからこそ、小さい時から道徳を教えなくてはいけない。監督としてサッカーを教えるよりも大事なくらいだ。あなたが子供たちに示す人生の価値観は、サッカーの実践よりも重要だ。
子どもにはサッカーを教えるより大事なことがあるとシメオネは言う。
それは「人生の価値観」であると。
サッカーの本質を追求する旅はつづく…
“生きる”ことの本質を教えてくれる漫画『神々の山嶺』
人生を熱く生きたいと思わせてくれる名作
不可能などないと思わせてくれる漫画『BLUE GIANT』