柏好文は、熱い男だ。
とにかく走り、戦う。
その姿はサポーターから絶大な信頼を得ている。
そんな男が見せたゴールは、我々に「頑張る」という言葉の本当の意味を教えてくれた。
J1リーグ第17節、鹿島VS広島で柏の決めたゴールを詳しく見てみよう。
絶対に逃がせない決定機
このゴールが生まれたのは、後半のアディショナルタイム。
広島が1-2で負けている、がけっぷちともいえる時間帯。
そんな中迎えたこの場面は
「決めれば引き分けに持ち込める」
というまさに正念場だった。
このゴールについて柏は
「負けたくない気持ちを込めて打ちました」
----ベースボールマガジン社Webサイトより
と述べている。
ここで、そのゴールの映像を見ていただきたい。
【6月30日 J1第17節】
— サンフレッチェ広島 公式 (@sanfrecce_SFC) June 30, 2019
後半アディショナルタイム、勝点1をもたらした柏好文選手のゴール動画です📹
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見ていただくと分かるが、熱い男が気持ちを込めてという形容詞が似合わないようなゴールだ。
技術の高さの光るゴール
この試合は雨が降っており、ピッチ状況が悪かった。
そんな中、圧倒的にプレッシャーのかかる局面で来たパスは、バウンドする難しいボール。
このボールに対し柏は、
・軸足を抜き、体を倒しながら左上半身をわずかに被せ
・膝下のみをコンパクトに振る
という技術を使うことで、枠上にふかすことなく確実に流し込んだ。
技術的には決して簡単ではなく、むしろ素晴らしいゴールだ。
ド派手ではないが、能力の高さが光ったゴールといえる。
だがしかし、このゴールを見る限り、気持ちがこもったという形容詞は似合わない。
「気持ち」のぶつけ方
気持ち、と聞いたときにイメージしがちなのはひたむきさだったり、がむしゃらさではないだろうか。
このゴールからそういった言葉は連想されない。
とにかく決めることに徹した、冷静沈着、そんなシュートである。
そしてそれこそが、柏のプロとしての気持ちの込め方なのだ。
がむしゃらに頑張るのではなく、弾丸シュートを打つのでもない。
ゴールを決めるという目的のために、最善の方法で挑む。
頑張ること、気持ちを込めることはあくまで結果を出すための手段であり、一番大切なのは目的を達成することだ。
結果のみで評価される厳しい世界に身を置くプロは、それを当たり前のように実行している。
熱い選手と評される柏も例外ではない。
わずかシュート1本でそれを体現して見せてくれた。
繊細な技術を駆使し、全力で目的の達成に挑む。結果を出すために全力。
それが、柏好文という男の魅せた、プロがプロたる所以なのだ。
ライター