今日ご紹介するのは、映画化もされた「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役で合格した話」の著者、坪田信貴さんの「才能の正体」です。
「生まれつきセンスがいいよね」
「地アタマがいい」
そんな言葉で片づけられてしまう"才能のある人々"がいます。
本当にそれだけだとしたら、生まれつき才能がない人は、諦めるしかないのかな。
才能は、後天的には身につかないのかな。
そんな疑問にヒントをくれる本です。
僕は、才能というものは誰にでもあって、それは"正しい努力"次第で手に入るものだと考えています
尖った部分を磨けば、選択肢は限りなく広がる
この本は、才能の本質について考察しながら、すべての人に“才能の芽”はあること、その“芽”を、どうすれば見つけ、花開かせることができるかについて教えてくれます。
本のなかで「定期テストの点数の結果で一喜一憂する親子」の話が出てきます。
私の周りでも、定期テストの時期になると、平均点を超えたのか、前回より順位が上がったのか下がったのか、など子どもより一生懸命な保護者で溢れます。
定期テストで落ちこぼれないことが、彼らにとっては何よりも重要なことのようです。
けれど、その定期テストの結果が、彼らの才能を伸ばすのに、子どもたちの人生に、どれだけ重要なことなのだろうか。
疑問を感じたことはありませんか?
視野が極端に短絡的なことに、大人は気がついていないのかもしれません。
多くの大人が、子どもの才能をどうやって伸ばせばいいか分からず、そればかりか、その才能を潰すことばかりしているということに本書を読むと気づかされます。
自分を出せなくなると、能力は伸びない。鍵を握っているのは親
与えられた教育に疑いを持たず、真面目に言われた通りにしてきた人に、「能力の高い人」はいるが、「尖った才能のある人」は少ない
背景や文化が違えば、認められる能力も違う。(中略)あなたが持っている能力は、ある人からは「そんな能力には意味がない」と言われているかもしれない。でもそれは、別の人からしたら絶賛に値するものかもしれない
勉強でも、スポーツでも同じでしょう。
多様性を認め、大人の常識や心配を子どもに押し付けないこと。子どもに思考停止させるような命令、禁止をしていないかを常に問うこと。
そうすることで、子どもの才能は、どこまでも伸びてゆくのかもしれません。
本書が面白いのは、第3章で、組織のマネジメント、チームとしていかに強くなるかということについても触れられているところです。
心に残るフレーズがいくつもありました。
指導する側と指導される側はいつも大きくズレている
お互いが信頼関係によって結ばれていて、かつ同じ目的を共有し、多様性を認めて、それぞれが尖らせた才能を持ち寄れば、どう考えても、1人で戦うより大きな成果が得られます
サッカーワールドカップの日本vsポーランドを例に、団体行動は得意だけれど組織行動が苦手な日本に必要なのは、個々が動ける組織をつくることだと説きます。
子どもの才能の正体を見つめ、その才能を開かせるために「大人が」なすべきことを教えてくれる一冊です。
子どもの才能のつぼみが、花開くかどうか。
鍵は、大人がにぎっているのです。
プロフィール
サッカー少年の子どもを持つ母
子どもたちをもっと笑顔にするためには大人が変わらないといけない…
本には大人が変わるヒントがたくさん散りばめられています。
大人の心を育む本をご紹介していきます。