大人になってから学ぶサッカーの本質とは

日本にいながら外国人リーグでプレーする私の目から見るサッカーの本質とは… 元サッカー選手、元サッカーコーチ、中南米放浪サッカー経験者として好き勝手語らせて頂きやす

コンサドーレの守護神、クソンユンが見せたアグレッシブさと冷静さの両立

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写真=Getty Images

J1リーグ第23節、清水VS札幌。


0-2とリードしていた札幌は、前半38分にピンチを迎えてしまう。


そこで見せたクソンユンの対応が、現代的GKとして必要なアグレッシブさと冷静さ、この両面をハイレベルに兼ね備えていることを証明する好セーブであった。
今回は決して派手ではない、しかし見所たっぷりの彼のプレーを解説していこうと思う。

 

書き手:山田有宇太 

状況 

 

まずは、こちらの映像で、状況をご覧いただきたい。

 

 

 

 

簡単に整理すると

セットした守備から中央を崩され、DFラインの裏を取られた結果、GKとの1VS1まで持ちこまれたという状況だ。

 


札幌はややラインを高く設定しているため、セットした守備でも裏のスペースを利用されてしまった。
FWとの1VS1という危機的状況を防いだクソンユン。


ここからは場面を細かく区切り、彼のプレーを解説する。

 

①裏を取られた瞬間

 

パスが出る直前、クソンユンはゴールエリア付近に立っている。


ここから焦ることなく、2歩ほど距離を詰め、FWがボールを触る瞬間にはシュートストップの体勢で待ち構えた。


この時、普段の体勢とは異なり、手を下に下げることでグラウンダーのシュートへの対応を懸念していることがよくわかる。


僅か数歩で距離を詰めることができたのは、裏を取られる前のポジショニングが前に出やすい位置を確保していたためだ。

守備範囲の広さを求められる現代サッカーにおいて、GKのポジショニングの高さは重要な要素である。

ゴールを空けるという心理的恐怖のあるポジショニング、そこからのボールへのアプローチの速さ。このアグレッシブなアクションによってFWに対しプレッシャーをかけることに成功した。

 

②トラップからシュート直前

 

FWがボールに触った数は3回。
最後はシュートであるため、そこまでに2回タッチしている。


1タッチ目
このタイミングでのダイレクトシュートに備えたクソンユンだが、トラップに素早く反応し足を運んでいる。
この時はタッチも小さく、最小限の動きをするためにサイドステップでボールに合わせてコースを限定している。

 

2タッチ目
ここでFWはDFを振り切るためスピードを上げ、大きなタッチで斜めにボールを動かしていく。
先ほどよりも長く速く移動をするべく、先ほどのサイドステップではなくクロスステップでFWのスピードについていくクソンユン。

もしここでサイドステップによる対応、あるいはボールへのダイビング。
どちらを選択してもFWはかわしてシュートを打っていたであろう。


冷静に二種類のステップワークを使い分け、シュートコースを限定していく対応が素晴らしかった。

  

③シュートへの対応

 

FWが選択したシュートコースはファーサイド。
クソンユンの重心移動に逆らうコースのため、反応することは出来ない。


クソンユンはシュートに反応するのではなく、


「タイミングを合わせて手足を広げる」

 

という対応を選択した。
シュートが来たファーサイドへは軸足を残すことにより、防ぐことに成功。
無論ニアサイドへも右手足を目一杯広げ、コースを塞ぐような姿勢を取っている。


この両手足を伸ばす姿勢は、かつてマンチェスターユナイテッドで名を馳せた名GK、シュマイケルが多用していたものである。
シュマイケルはハンドボール出身の選手であり、その際に身についた技術だといわれている。この姿勢は彼の名物ともなっていた。

近年GKのトレーニング研究が進むとともにこのハンドボール式対応は、マストで身に着けるべき技術の一つとして確立されつつある。

 


最適なタイミングで、最適なステップワークを選択し、最適なシュートストップの姿勢を作ることで、相手のゴールの可能性を狭めた結果がご覧いただいたシュートストップだったのだ。 

 

 GKの見所


以上、三つの場面に分けて解説をした。


GKの魅力の一つはもちろんスーパーセーブだ。
超人的な身体能力が輝く瞬間はとても美しい。

 

しかし、まるでチェスのように一手一手合理的な対応を続け、相手のチャンスを可能性を削ることでチームのピンチを防ぎ切る。


そんな目まぐるしい思考の果てに生み出された、技巧が詰まった対応とFWとの駆け引きも見応えたっぷりである。
もし次にあなたが見た試合でGKがセーブをしたとき、彼らの脳内に思いを馳せて見てはいかがだろうか。


そこには、超人的なスピードの脳内処理能力と、日頃のたゆまぬ努力によって生まれるスーパープレイの過程が垣間見える、かもしれない。

 

ライター

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