大人になってから学ぶサッカーの本質とは

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Jリーグのシーズンが終わり、別れの季節が来た

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2019年のJリーグ。

 

最終戦までもつれ込んだJ1の優勝争いは、横浜・F・マリノスが優勝となった。

 

接戦が多い近年の中でも、首位と2位の直接対決が最終戦となったのはドラマの一つであり、ファンの皆様は大いに盛り上がったのではないかと思う。

 

 

そして、シーズンは終わった。

この後に訪れるのは、来年に向けた編成の動き。

 

そう、別れの季節なのだ。

 

 

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別れは突然にやってくる

 

サッカー選手とは過酷な商売だ、とつくづく思う。

 

評価基準は実力主義、その一点のみ。

チームに貢献できない者は、戦力外となりチームを去るしかない。

 

ある者は活躍できるチームを探し、ある者はアマチュアで働きながら戦う決断をし、またある者は選手人生を終える決意をする。

 

今年も既に多くの選手が、引退を表明した。

また、契約満了更新せずという通告をされ、先行き不明な選手も数多くいる。

彼らの中にも、今後プレーする姿を見られない選手は少なからず居るはずだ。

 

 

その一方、大きな成果を上げた選手は当然ながら他チームからのオファーが殺到する。

 

今年で言えば、以前に紹介した神戸の古橋や、MVPに選出された仲川などは海外からのオファーの可能性も高いだろう。

より好条件であったり、ハイレベルなチームからのオファーであれば選手にとっては飛躍であり、大いなるメリットがある。

ファンとしては嬉しいやら寂しいやら悔しいやら、どんな感情だとしても今のチームのユニフォームを着た選手は見られなくなってしまうこととなる。

 

 

引退、移籍。

どちらにおいても、応援する選手との別れが生まれるのがこの冬という季節だ。

 

 

ある人が言っていた。

 

「選手はいつまで見れるか分からない。移籍するかもしれない、引退するかもしれない。チームだって無くなるかもしれない。だから応援できるときに全力で応援するんだ。」

 

 

この言葉は、悲壮感すら感じる偉大な意志だ。

  

ファンは応援しか出来ず、選手の行き先は分からない。

別れは突然だし、あらがうことは出来ない。

 

その全てを飲み込んで、それでも添い遂げる姿は勇ましく、慈愛に満ちている。

 

「今週の試合は行かなくてもいいかな」

「来年になったら行ってみよう」

 

と考え、結果後悔した経験、皆様にもおありかもしれない。

選手が、チームがいつまでも見られるわけでは無い。

 

親孝行、したい時分に親は無し、とよく言うが応援もまた同じこと。

相手がいつ居なくなるか分からないからこそ、その時その時に応援することが出来れば、きっと後悔はしないだろう。

 

 

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二度と出会えない光景がそこにはある

 

 

いつ誰が、どのような理由でチームを去るかは誰にもわからない。

移籍ではなく引退であれば、今後ピッチ上でプレーを見るということすら叶わなくなる。

 

 

また選手個人の話となれば、来年などというのんきな話ではない。

 

一瞬目を離した瞬間に選手が大怪我、そのまま引退、ということは少なくない。

そこまでいかずとも、年単位の離脱が頻繁に起きることは皆様もご存知かと思う。

 

選手たちは、比喩ではなく文字通り人生を懸けてサッカーに挑んでいる。

Jリーグのみならず、JFLや地域リーグでもそれは変わることはない。

 

毎週行われている試合、実はその光景は二度と出会えないものなのだ。

一秒一秒が筋書きのないドラマであり、極限までリアルなドキュメンタリーでもある。

お互いの勝ちたいという意思のぶつかり合いが、常に一度きりの体験をもたらしてくれる。

 

 

遥か昔、仏教において「諸行無常」という言葉が使われていた。

常に変化は起こり続けるものであり、不変なものなどない、という教えはサッカーにも通ずる。

 

毎年、同じチーム同士の対戦。

でも選手が変わっているかもしれない。同じ選手でも年齢が違えば成長、衰退していることは間違いない。

気候は?観客数は?選手のコンディションは?

変数を探せばキリがない。

 

 

だからこそ、ファンの皆様には目の前のサッカーを全力で楽しんで欲しい。

今見ている選手は、チームは、そしてその素晴らしいプレーと熱気は、二度と出会えないかもしれない。

一瞬で過ぎ去ってしまう凝縮された熱。

それを全身で感じて、全力で選手の背中を押してほしい。

 

 

そして選手は自分の人生だけでなく、ファンの熱も背負ってプレーをしてほしい。

選手がファンの声援に応え、ファンはより熱意を傾ける。

この好循環によりJリーグ、ひいては日本のサッカー界はもっともっと楽しく、素敵なものになっていくのだと私は信じてやまない。

 

 

そしてこの気持ちはきっと、Jリーガーに対してその舞台に立つことが叶わなかった私が抱く、ちょっぴりの嫉妬と大いなるリスペクトでもあるのだ。

 

ライター

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