サッカーをプレーする選手をしっかり見ているか
サッカーを教える時に大切なことのひとつはピッチでプレーする選手たちの気持ちがわかるということだ。
私はコーチや大人がもっとしっかり選手を見なければならない。と感じている。
とりわけ少年サッカーを見ていると非常に不健全な光景が目につく。
子供達のプレーを見ていると明らかに不自由で、その理由はコーチや大人が発する言葉に支配されているからであることがわかるのだが、そんなことにも気が付かない大人が多すぎる。大人が発する言葉の影響力は子供には絶大で、「ボールが来たらとにかく遠くに蹴れ」という言葉を必死に守ろうとするし「ボールが来たら相手のゴールまで一歩でも近づけ」という言葉を必死に守ろうとする。
もっと発する言葉を大切にしなければならない。そのためにはやはりしっかり子供たち、選手たちを見れなくてはならない。
大人に求められる大切なことは、サッカーとはこういうものだ。という考え方から自由になることである。
「ボールが来たらとにかく遠くへ蹴れ」という言葉にサッカーの本質は微塵もない。伝えるべきことは「ボールが来たら相手のゴールまで一歩でも近づけ」ということだ。
それはゴールまで「ドリブルしろ」ではなく「パスをつないでいけ」でもない。
「ゴールまでボールを運べ」ということだ。
ゴールまでの過程は選手たちが創造するものだ。
こいつは何をするかわからないと思わせること
相手が近くに来たらパスをしなければならない。とか
ドリブルで抜かなければならない。ではない。
こいつがボールを持つとなにをするかわからないな。と思わせることがピッチでは大切なのだ。パスしかしない選手。ドリブルしかしない選手は恐くない。
ドリブルが武器ならその武器を上手く隠せ。
スルーパスが武器なら上手く隠せ。
隠すというのは出すその瞬間までバレないようにしておくということだ。
とことんドリブルで勝負しろとか、スルーパスを出しまくれ。と熱く語る人がいる。
しかし、本当に面白くなるのは磨き上げた武器をどこで使うかであり、武器を最大限に生かすための隠し方が巧みになってからなのである。ネイマールはいつもドリブルしない。
ロナウドもメッシもゴールの瞬間までどういう絵を描くのか誰も想像できない。
メッシはいつシュートを打つのかわからない。
どういうシュートを打つのかもわからない。
弾丸シュートなのかループシュートなのか誰にもわからせない技術がある。
この何をするか誰にもわからせない技術は、ドリブルという武器や正確無比なパス、シュートという武器がなければならない。
「ボールが来たら相手のゴールまで一歩でも近づけ」
こいつがボールを持つとなにするかわからないな。と思わせること
サッカーの本質を追求する旅はつづく…
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